PROFILE: 園田恭輔/ウィゴー社長
PROFILE: 1979年生まれ、大阪府出身。99年に販売員としてウィゴー入社。エリアマネージャー、物流、MDなど、さまざまな部署や事業部の立ち上げを経て、2011年に「ウィゴー」の事業部長に就任。18年より現職 PHOTO:KAZUO YOSIDA
オンワードホールディングス傘下のウィゴーは、2030年までに海外事業の売上高100億円の達成を目指し、海外進出を本格化する。「中国本土50億円、台湾30億円」を想定し、残りを東南アジアで積み上げる構想だ。今年から台湾と中国では出店・展開を加速する。園田恭輔社長に戦略を聞いた。
WWD:台湾では2030年までに約20店舗の出店を計画する。重点市場に据えた理由は?
園田恭輔社長(以下、園田):日本国内の人口減少を踏まえ、以前から海外に出る必要性は感じていた。中でも台湾はコロナ前から視察を重ねており、ファッションや消費感覚の親和性が高い。訪日客が原宿の店舗などで購入した体験を通じて認知が広がり、当社SNSのフォロワーも台湾は日本に次いで2番目に多い。
台湾市場はセレクトショップや単独ブランド、グローバルSPAの存在感がある一方、日本型の“中間マーケット”への需要も大きい。その中でも若年層向けで男女双方にアプローチするブランドは少なく、参入余地があると考えた。年内は5月に台北市内の誠品生活武昌店へ出店し、その後も約90〜100坪の店舗を2店舗出店するほか、路面店も予定している。
WWD:具体的にウィゴーのどんな部分が響くと思うか?
園田:主軸はウィメンズアパレルと雑貨だ。台湾でも推し活需要は強く当社の雑貨MDは差別化になる。ゆくゆくはルーツである古着も店舗の一区画などで販売したい。価格は日本との乖離を抑え、最大でも1.5倍程度に収める方針だ。コミュニケーションにおいては、まずSNS運用などベーシックな施策から始め、現地のカルチャーやコミュニティーと連動した取り組みへ段階的に広げていく。

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中国では“痛バッグ”で手応え
WWD:上海では24年に開催した“痛バッグ”(アニメ・ゲーム・アイドルなどの“推し活”グッズで装飾したバッグ)のポップアップに1万8000人が来場するなど好評だった。
園田:想定以上の反響だった。ポップアップを実施する以前から、日本の自社ECで中国のバイヤーが “痛バッグ”をまとめ買いする現象が起きていた。ECサイトに商品を投下した瞬間に即完してしまうレベルだった。そこから現地ECを強化し、ポップアップにつながった。中国本土では日本と同じような手法では戦えない。 “痛バッグ” のような現地に確実に刺さるコンテンツやMDに絞って勝負する。

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WWD:上海に今年オープンする旗艦店はどんな店舗になる?
園田:中国本土ではECを主軸にする。そのため路面店もオンラインでの購買につなげるための戦略的店舗という位置付けだ。現地の担当者に言われたのは、「中国では売りに行ってはいけない」ということ。「ポップマート(POP MART)」や「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」など、最近人気の店はどこも「体験」に振っている。もちろん、利益は出さなければいけないが、どれだけUGC(消費者が自発的に作成・発信したコンテンツ)が発生するか、滞在時間を伸ばせるか、話題作りができるかといったことを重視する。まだ具体的には言えないが、日本のカルチャーを軸にした体験型コンテンツを考えている。
WWD:日本では、消費者の細分化する趣味嗜好を調査する“界隈マーケティング” や、それに基づくスピーディーな商品調達が奏効している。
園田:オンワードに加わる以前から着手していた構造改革が実を結んでいる。物価上昇や為替の影響で値上げを迫られた時期もあったが、減価率を上げ、値引きを減らしたとで粗利が担保できた。昨年度は特に、女性の客数とリピーターの売り上げが顕著に伸びた。日本ではさまざまなMDを見せられるよう既存店を大型化し、客層をさらに広げていくことが次なる課題だ。
