佐賀県の有田焼に使われる青色の顔料「呉須(ごす)」は、2つの会社が製造してきましたが、担い手の高齢化などを理由に1つの会社に集約されました。伝統ある事業を引き継いだ34歳の思いに迫ります。

■深海商店・深海宗佑さん
「青って非常にシンプルだと思うのですが、それでも飽きさせないのが魅力かなと思います。」

佐賀県有田町でおよそ100年続く陶磁器資材メーカー、深海商店に勤める34歳の深海宗佑さん。深海家は、およそ400年前に有田で陶器や磁器づくりを始めた家系と伝えられ、宗佑さんはその13代目です。

深海商店は、有田焼の表面を覆うガラス質の膜「釉薬(ゆうやく)」や、青色の顔料「呉須」などを製造しています。

窯元の要望に応じて色の濃淡などを調整し、そのバリエーションは300色にも上るといいます。

深海商店の呉須は、皇室に納められる最高級品を作る窯元でも使われていて、繊細な青の色使いが特徴の一つである有田焼には欠かせないものです。

その深海商店に大きな転機が訪れました。

■深海さん
「この度、岸川絵具店さんの事業を承継させていただくことになりました。従業員さんとお客様と、その業務を引き継がせていただきます。」

有田焼の資材メーカーは深海商店と岸川絵具店の2社がありましたが、深海商店が岸川絵具店の経営を引き継ぐことになったのです。

譲渡による事業承継の背景には、担い手の高齢化がありました。

岸川絵具店では、代表の高齢化で後継者がいないため、廃業を検討していました。

こうした中、およそ4年前に経営コンサルティングの会社を辞め、深海商店に入った宗佑さんと話し合いを重ね、有田焼を守るための従業員と工場の譲渡が決まり、深海商店が唯一、製造を担うことになりました。

■深海さん
「うちが経営を失敗し、呉須が作れなくなると、日本の文化の一部を損ねてしまうと思うので、非常に責任感が重いなと思います。」

ライフスタイルの変化などから有田焼の需要は減り、深海商店を取り巻く経営環境はいっそう厳しさを増しているといいます。

それでも一歩を踏み出した宗佑さんは、ある決意を胸に抱いています。

■深海さん
「世界中の一流や本物たちがこぞって求める有田をつくるにあたり、我々は探求ですね。思ってもみないような、彼ら(窯元や作陶家)が想像さえしていなかった、思い描いてもいなかったようなものでさえ作れるようになればいいなと思っています。」

これまでにない有田焼を生み出すことで、伝統を守っていこうという34歳の挑戦は始まったばかりです。

※FBS福岡放送めんたいワイド2026年3月31日午後5時すぎ放送

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