日本テレビ系列が取り組むいのちを守るプロジェクト、「あす大災害、だとしたら?」。
地震や台風、豪雨など「もしも」の時にあなたはどう行動しますか?
南海トラフ地震の避難意識を向上させるための高知県内の取り組みにスポットを当てました。
2026年3月、南海トラフ地震に対する高知県独自の被害想定が13年ぶりに見直されました。
新しい想定のポイントは、住民の避難意識の変化によって死者をはじめとする被害予測に大きな幅があることです。
検討にあたったのは高知県内外の専門家5人でつくる高知県地震被害検討会です。
■高知県地震被害想定検討会・矢守克也 教授(京都大学)
「この悪い方への変化 (死者)2万3千人が4万人になるというこっちの変化も十分にありえますので、この良い方の変化、悪い方への変化を県とか市町村という公助の力でどれだけ良い方へこれから持っていけるのか」
新しい想定では、最大震度7クラスの地震が冬の深夜に起きた場合、高知県内では2万3000人が亡くなるとしています。前回の想定と比べ、半分近く減っていて、県民世論調査で津波に対して「早期避難する」と答えた割合が73パーセントだったことを反映させています。
しかし、この意識が20パーセントに下がった場合、死者の数は、前回の想定とほぼ同じ最大4万人の想定になります。
いつ起こるかわからない南海トラフ地震に対し、早期避難の意識を高め、保ち続けていくのは簡単なことではありません。
■高知県南海トラフ地震対策課・伊藤孝 課長
「今まで啓発もかなり手を変え、品を変えやってきたけれどなかなか(早期避難意識)70パーセント以上というのは難しいところですので、さらに新たな視点で取り組みを進める、進化させる。そのようなことも考えていかないといけないんじゃないかなと思ってる」
どうすれば早期避難の意識を高め、維持できるのか?
地域のつながりや災害対策について研究する高知大学地域協働学部の大槻知史教授は、これまでの形にとらわれない防災訓練を提案します。
■高知大学地域協働学部・大槻知史教授
「やっぱり防災って長期戦なのでいつ来るかわからない。ずっと気を張り詰めて意識を持ちつづけるっていうことはなかなか難しくて、避難ルートのチェックであったり避難に向けた体力づくりであったり、避難後の滞在の準備とかを普段の暮らしに重ねあわせて埋め込んでやっていくことが大切かなと思う」
大槻教授が2年前から関わっている須崎市の取り組みです。
高台の避難場所をイルミネーションでライトアップしたり、キャンドルアートを子どもたちに作ってもらい、みんなで避難場所に上がって楽しんでもらう工夫がされています。
親子連れやアートを作った子どもの友だちなど、より多くの人たちの参加が見込めるといいます。
■大槻教授
「防災とあんまり言ってなくても実際に避難ルートであったり避難場所。あるいはそこに自分がどれぐらいかかるんだ、暗い中逃げるためには何が必要だ、とかそういうのをそれぞれの個人が考えるきっかけを提供できるのかなと思ってる」
高知県四万十町志和地区。沿岸部に位置する志和・興津の2地区では、2年前から高齢者を主な対象とする「防災リハ教室」をおこなっています。
地区ごとに週1回教室を開き、参加者は理学療法士の指導のもと体力づくりの運動や介護予防・防災の知識を学びます。
プログラムには、避難のために高台へ登る訓練も用意されています。
■参加者
「急に足が痛くなってね。90歳になってから一時ね、よう歩かなかったけど、また最近は元気になったき、おかげで歩きよります」
「もういざという時は私は走りゆうと思う、もっと」
教室には毎回、70代から90代までの高齢者など約10人が参加します。
教室では、避難にかかった時間を定期的に計測・比較していて、着実に効果を感じられることが参加者の意欲につながっているようです。
■四万十町高齢者支援課・地域包括支援センター 岡田知佐さん(保健師)
「実際体力測定の結果なんかを見てもすごく良い結果が出ている。体力の維持であったりとか、向上している方がほとんどという結果になってて事業としてもすごく成果を感じています」
人口が集中する高知市でも、住民の防災意識を高めようと動き出しています。
2026年2月に初めて開催された「れんけい・ぼうさい大交流会」は町内会や自主防災組織などが参加し、地域のつながりの強化に取り組みました。
■高知市地域コミュニティ推進課・田中恒輝さん
「地域でのイベントごとだったりとかそういったコミュニティの活動と、もしもに備えるための防災活動をそれぞれ分けて考えるのではなくて、重ねていつもの活動の中に防災の要素を取り入れたりとか ふだんの活動の中で防災だったりそれぞれに意識を向けるっていうところを進めていきましょうと」
参加者たちは日常の取り組みやイベントに防災の要素を「ちょい足しする」案をワークショップで出し合いました。
■高知市地域防災推進課・仙頭みなみさん
「たとえばこういう地域のイベント事。もちつき大会に防災訓練を取り入れてみる、みたいなそういう話と似たようなものもあったりして地域としてはイメージしやすかったんじゃないかなと。これから今回をきっかけに、一緒にみんなで取り組めるような地域が増えてきたらいいなと思ってる」
13年ぶりに見直された県独自の被害想定。県は、新たな被害想定にもとづき、2026年9月を目途に南海トラフ地震対策の第6期行動計画の取り組みをバージョンアップする方針です。
各地域が工夫しながら取り組む住民側の意識向上ともあわせ地震・津波への対策が進みます。
