大分県立美術館(大分県大分市)で、「カイ・フランク展 時代を超えるフィンランド・デザイン」が4月25日から開催されます。
フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランク(1911-1989)。人々の暮らしに寄り添い、社会的な課題を解決するデザインを目指したフランクは、「フィンランド・デザインの良心」と呼ばれています。徹底した機能性とシンプルな美しさを追求したフランクは、ガラス器の「カルティオ」や陶器の「キルタ」、後継の「ティーマ」などを生み出し、それまでのデザインのあり方を一新しました。彼のデザイン哲学は今日まで受け継がれています。
本展はヘルシンキ建築&デザイン・ミュージアムのコレクションを中心に、ガラス器、陶磁器などの代表作、ファブリック、スケッチ、写真や映像250点以上を展示。初期から晩年までの作品と仕事の全貌を明らかにします。また日本の文化に惹かれ、3回の来日を果たしたフランクの足跡や、彼に影響を受けたデザイナーらの作品も紹介します。時代を超えて今なお愛されるカイ・フランクの作品と、彼のデザインを支える思想に迫る大回顧展です。
カイ・フランク 《プリスマ(プリズム)/KF215》 花器 1959年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク インクボトル 1959年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク展 時代を超えるフィンランド・デザイン
会場:大分県立美術館 1階 展示室A(大分県大分市寿町2-1)
会期:2026年4月25日(土)~6月14日(日)
※休展日なし
開館時間:10:00~19:00
※金曜日・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日:なし
観覧料:一般1,500円/高校生1,200円
※中学生以下は無料
※大分県芸術文化友の会 KOTOBUKIとTAKASAGOは無料
※障がい者保健福祉手帳等をご提示の方とその付添者(1名)は無料。
※学生は学生証等証明できるものを要提示
アクセス:
JR大分駅府内中央口(北口)から徒歩約15分
大分ICから車で約10分
詳細は、大分県立美術館公式サイトまで。
展覧会のみどころ
みどころ1 カイ・フランクのデザイン哲学
機能主義に基づくシンプルでそぎ落とされたデザインや幾何学的形態を追求し、安価でありながら良質な製品を多くの人に届けるというフランクのデザイン哲学を、250点以上の作品を通じて見ることができます。
カイ・フランク 《1621》(左)1955年、《1610》(右)1954年 カラフェ ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク 《キマラ(カクテル)》タンブラー 1953年、カイ・フランク/サーラ・ホペア 《トイヴェ(希望)》パッケージ 1955年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク 《クレムリン ケッロット(クレムリンの鐘)/KF500》 カラフェ 1957年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Johnny Korkman ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク グラスデザインのスケッチ[複製] 1960年(オリジナル)©Architecture & Design Museum Helsinki
みどころ2 代表作《キルタ》
フランクが手がけた代表的なテーブルウェアシリーズであり、フィンランド・デザインの到達点のひとつとされている《キルタ》と、その後継のシリーズである《ティーマ》を、インスタレーションを交えて展示されます。
カイ・フランク 《キルタ(ギルド)》シリーズ 1953年 アラビア製陶所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
みどころ3 多彩なアートガラス
フランクは、シンプルで機能的なガラス製品をデザインしていた一方で、芸術作品としてのアートガラスも数多く生み出しました。フランクがガラス職人らと共に技法を開発して制作したこれらの作品は、ガラスの造形に新しい表現をもたらしました。
カイ・フランク 《KF486》 ゴブレット 1969年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク プレート 1979年 ヌータヤルヴィ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
みどころ4 初期の作品
機能的でミニマルなデザインで知られるフランクですが、さまざまなデザインの分野で短期の仕事を重ねていた20代から30代にかけては、具象的でおとぎ話のようなロマンチックな要素を含む作品を制作していました。あまり知られていない、初期の木製玩具やプリント生地などの仕事も紹介されます。
カイ・フランク 《テュット(女の子)》(左)、《ポイカ(男の子)》(中央)、《シルクスティレヒトーリ(サーカス座長)》(右) 木製人形 1945年 ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク 《プトゥキノトコ(セリ草の谷間)》[複製] プリント生地 1948年(オリジナル) アルテック Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
カイ・フランク 《カイヴォンカッツォヤ(水脈探し人)》 カラフェ 1948年 イッタラ・ガラス製作所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
みどころ5 カイ・フランクと日本の関わり
フランクは、1956年の来日を皮切りに三度の来日を果たしました。本展の開催に際して新たに公開された来日時資料をもとに、従来の研究からさらに踏み込んで、日本でのフランクの足跡をたどります。また、禅の文化や日本の伝統工芸のデザインの影響が見られる作品を、日本の工芸家たちの作品とともに紹介されます。
カイ・フランク 《KF1》 サービングプレート 1957年 アラビア製陶所 Photo: Rauno Träskelin ©Architecture & Design Museum Helsinki
展覧会オリジナルグッズにも要注目
イッタラとのコラボレーションにより、展覧会記念アイテムが登場しました。底面に、展覧会限定のボトムスタンプが刻印されています。
「カルティオ タンブラー スペシャルパッケージ入り4個セット」 8,500円(税込)※数量限定 撮影:山本倫子
「ティーマ マグ 0.3L」 3,960円(税込) ※数量限定 カラー:ヴィンテージブルー、リネン 撮影:山本倫子
「カルティオ カラフェ 950ml」20,900円(税込) ※数量限定 カラー:シーブルー 撮影:山本倫子
カイ・フランク(Kaj Franck 1911-1989)とは
アラビア製陶所でのカイ・フランク 1953年 Photo: Pietinen ©Architecture & Design Museum Helsinki
北欧デザインを代表する中心的なデザイナーであり、シンプルで生活に取り入れやすい食器の提案によって、その発展に大きな影響を与えました。フランクは戦後の物資不足や住宅難という社会課題に対し、多用途で積み重ね可能な食器 「キルタ」 シリーズを考案し、高価で場所をとる従来のテーブルウェアに革命を起こしました。また、機能性と普遍性を追求し、「必要な装飾は色だけ」と余計な装飾を削ぎ落した彼のミニマルで暮らしに寄り添うデザイン哲学は、時代を超えて現代にも深く根付き、世界中で愛されています。
「フィンランド・デザインの良心」と称されるカイ・フランク。彼の生み出したプロダクトは、単なる日用品の枠を超え、私たちの生活に静かな豊かさと機能美をもたらしてくれます。本展は大分県立美術館が全国巡回の最初の会場となり、九州では唯一の開催。ヘルシンキ建築&デザイン・ミュージアムの貴重なコレクションをはじめ、250点を超える膨大な作品群が一堂に会し、初期の知られざる仕事から、日本文化との深い交流を示す資料まで、カイ・フランクの創作の全貌に触れることができる貴重な機会です。時代や国境を越えて愛され続ける普遍的なデザインの魅力と、その背後にある真摯な哲学を、ぜひ会場で直接堪能してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
