大倉集古館(東京・虎ノ門)で、特別展「中国宋・元・明時代の漆器 ―和の漆器や香道具とともに」が4月14日から開催されます。
中国における漆工芸品は、およそ八千年前の先史より悠久の時をかけて使い続けられてきました。その中には漆を塗っただけの簡素なものや、超絶技巧をほどこしたものなど多彩な作品が含まれています。
本展覧会では、これまでほぼ紹介されたことのなかった中国 宋・元時代を中心とした漆器54点を取り上げます。いずれも、貴重かつ希少な類の作品で、中国漆器を研究する際には不可欠な作品ばかりです。
なお、第2章では、大倉集古館所蔵品の中から大倉家ゆかりの手箱などの和の漆器や香道具など約30点が紹介されます。
特別展「中国宋・元・明時代の漆器―和の漆器や香道具とともに」
会場:大倉集古館(東京都港区虎ノ門2-10-3)
会期:2026年4月14日(火)~6月28日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし5/4は開館)、5/7
観覧料:
一般1,500円、大学生・高校生1,000円、中学生以下無料
※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方と同伴者1名は無料
※お着物(和装)でご来館の方は300円引き
アクセス:
・東京メトロ南北線六本木一丁目駅中央改札口(泉ガーデン方面)より5分
・東京メトロ日比谷線 神谷町駅4b出口より7分
・東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅13番出口より10分
・東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 A2a出口より8分
詳細は、大倉集古館公式サイトまで。
第1章 中国宋・元・明時代の漆器(2階)
中国の漆器は、日本において平安時代後期の12世紀以降、交易を通して伝えられ、寺院や宮中で大切にされてきました。これらは「唐物」と称され、床の間の飾りとして使用され、後に茶道具に添えられた盆や香合としてもつかわれるようになります。中国の漆器は大変貴重なものであり、中国本土においても優品を多くみることは稀と言われます。
第1章では、日本に伝わった貴重な中国の漆器を、技法ごとにご紹介いたします。具体的には、「無文漆器」「犀皮さいひ」「堆朱ついしゅ」「堆黒ついこく」「堆黄ついおう」「彫彩漆ちょうさいしつ」「螺鈿らでん」「存星ぞんせい」の8種類です。技法ごとの魅力とともに、日本の漆器とはまた異なった雄大さや、ち密さなど、中国漆器ならではの世界観をお楽しみください。
《黒漆五花盆》北宋・12世紀 個人蔵
シンプルでありながら、緊張感と優雅さを感じさせる優品です。
《犀皮長箱》南宋・13世紀 個人蔵
何色かの色漆を塗り重ね、文様を彫り出したものを犀皮さいひと呼びます。本品はひときわ洗練された作品として名高いものです。
《蓮池水禽堆朱円盆》元時代・14世紀 個人蔵
鎌倉彫に似ていますが、朱漆を塗り重ねてオシドリと蓮を彫り上げた迫力に富んだ堆朱ついしゅの作品です。
《花鳥堆黒長盆》南宋時代・13世紀 個人蔵
黒漆を塗り重ね高度な技術で文様を仕上げた作品。格調の高さを漂わせています。
《龍堆黄円盆》明時代・1589年(万暦17)東京国立博物館蔵
朱漆を塗った地に黄漆を塗り重ねて龍を彫りあらわした、力あふれる堆黄ついおうの傑作です。
《福字彫彩漆輪花盆》明時代・16世紀(嘉靖期)個人蔵
彫彩漆ちょうさいしつは、朱,緑,黄といった彩漆を交互に塗り重ね,模様ごとに彫り分けたものです。吉祥文で埋め尽くされ、めでたい雰囲気をいっぱいに漂わせています。
《龍鳳螺鈿長盆》元時代・14世紀 個人蔵
光を放つ貝をはめ込んだ螺鈿らでんの作品。皇帝を表す5爪の龍や鳳凰が精緻に表現された白眉の作品です。
《鳳凰存星器局》明時代・16世紀(嘉靖期)個人蔵
存星ぞんせいとは、漆地に色漆で文様を描くか、彫って色漆をつめこみ、輪郭や細部に沈金を施したもの。技の粋を見事に示した珠玉の作品です。
第2章 和の漆器-大倉家ゆかりの手箱や香道具と和の文化(1階)
第2章では、大倉集古館所蔵の和の漆器の世界が楽しめます。大倉集古館を設立した大倉喜八郎は調度を好み、日本と中国の漆器を多く集めました。開館当初は「世界で一番の堆朱の所蔵館」として名を馳せ、多くの魅力的な中国漆器を所蔵しました。また、大名家に旧蔵された日本の調度品も多く収集し、木彫工芸家の支援も行いました。しかし、関東大震災によりこれらの作品はすべて灰燼に帰してしまいます。
その後、大倉家で使用していた漆器や、2代目喜七郎、その妻・久美子から寄贈された漆器が現在の所蔵品の一翼を占めています。特に久美子は、御家流香道・桂雪会を発足したことで知られ、魅力的な香道具を所持していました。喜七郎や久美子が愛した和の文化の一端が紹介されます。
国宝《古今和歌集序》(部分) 藤原定実 平安時代・112世紀 大倉集古館蔵【巻替えあり】
大倉喜七郎が愛した古今和歌集序の名品。巻子本古今和歌集の中で唯一完存します。
重要文化財《長生殿蒔絵手箱》鎌倉時代・13~14世紀 大倉集古館蔵
大倉久美子の実家、越後新発田藩主溝口家に伝わった作品です。
《松竹梅文蒔絵十種香箱》江戸時代・18~19世紀 大倉集古館蔵
大倉久美子遺愛の香道具。加賀藩主前田家旧蔵とされます。
中国大陸で磨き上げられた漆芸の極致と、日本の風土の中で洗練された蒔絵の美。本展では、その両者を大倉集古館秘蔵の名品約85点でたっぷりと紹介します。特に、第1章で紹介されるさまざまな技法を凝らして制作された中国宋・元・明時代の漆工54点は、これまでほとんど公開されたことがない稀少な作品を数多く含みます。数百年を経た今なお色あせない漆の輝きを、大倉集古館の歴史の息吹を感じる展示空間で体感できる貴重な機会として、要注目の展覧会です。(美術展ナビ)
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