台湾のベイブレードプレイヤーが、個人間で購入したベイブレードの重量差0.06gをめぐって争い、訴訟問題にまで発展していることを台湾のニュースチャンネル「民視新聞」が報じた(外部リンク)。
「もう、遊びじゃない」というコンセプトに掲げ、スポーツ/競技として独自の発展を目指しているタカラトミーの『BEYBLADE X(ベイブレードエックス)』。
わずかな重量の差がスピードや回転数を変化させ、勝敗に影響を与える繊細な競技。タカラトミーの担当者によると「世界80以上の国と地域で累計5.5億個以上(2025年4月時点)が出荷」されている世界的な玩具になっているという。
0.06gを巡る訴訟──はたしてこれは単なる難癖なのか、あるいは勝利に対する貪欲な姿勢なのか。
0.06gのベイブレードの重量差が法廷バトルへと発展
争いが起きたのは、ベイブレードのFacebookコミュニティ「戰鬥陀螺 beyblade 大聯盟」。あるプレイヤーが重量37.95gのベイブレード(鯊魚戰刃/シャークスケイル)を購入したことからはじまった。
購入者は商品を受け取った際に自ら重さを量った。すると、商品ページに記載されていた重量よりも0.06g軽いことに気づいたという。
販売者にその旨を伝え返金を求めたが、「計量器の誤差によるものかもしれない」という理由で却下。論争の末に購入者は激怒し、訴訟を起こす事態にまで発展したのだ。
競技シーンではベイブレードの“個体厳選”も行われる
そもそもベイ(ベイブレードのコマのこと)は製造の過程で、どうしても0.01g単位の重量の誤差が生まれてしまう。
もちろん多くのユーザーは、メーカーであるタカラトミーに対してはその個体差を了承した上で購入している。しかし、今回はコミュニティにおける個人間の取引であるため、ただの難癖ではない可能性があるのだ。
極限まで突き詰められた『BEYBLADE X』の競技シーンには“個体厳選”という概念が存在している。同じベイを複数購入し、最も試合に有利な重量のものを探したり、コミュニティ内で優れた重量のベイが売買されるなど、独特な文化が根付いている。
今回問題が発生したコミュニティの投稿を見ると、同じベイであるはずなのに、0.01g単位まで詳細に重量が記載されている。
そして、重量差が発覚した後のメッセージログには「あなたも37.95gと37.93gではそれぞれ価格が異なることを知っているはずです」とも書かれている。
特に売買の対象になったベイ「シャークスケイル」は重心が低く、重さが特徴となるベイブレードだ。0.01gでも軽かったら勝敗に影響を与えてしまう可能性が高くなる──真剣にゲームを遊んでいる人、競技的に取り組んでいる人ほど、この抗議には納得してくれるはずだ。
たかが0.06g、されど0.06g。「もう、遊びじゃない」という『BEYBLADE X』のコンセプトを法廷の場で体現することになった前代未聞のバトル。どのような結末となるのか、引き続き注視する必要があるだろう。

タナカハルカ
武蔵野美術大学中退後、フリーのゲームライターとして執筆業を開始し、自身でもインディーゲームを開発。アイドルグループの運営スタッフやオーガナイザーとしても活動。2025年8月からKAI-YOUで編集/ライターとして従事。得意ジャンルは地下アイドル、インディーゲーム、モダンカートゥーンなど。著書に『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』(DU BOOKS)、『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』(双葉社)がある。

