教員の待遇をめぐって、ちぐはぐなことが起きています。国は教員不足を解消するために給与の引き上げを進めようとしている一方で、ある自治体では教員の給与を引き下げる動きが出ています。今日はこの二つのニュースを並べて、「先生の仕事はどう評価されているのか」を考えてみたいと思います。

大津市が幼稚園教員の給与を保育士水準へ引き下げ、現職には無期限で差額を補償する方針を示した。

出典:読売新聞オンライン

教員不足解消へ、国は教職調整額を現在の4%から2030年度までに10%へ段階的に引き上げる。

出典:毎日新聞

大津市で何が起きているか

滋賀県大津市が、市立幼稚園教員の給与を保育士の水準に合わせて引き下げる条例改正案を市議会に提出しました。大津市は待機児童数が2年連続で全国最多となっており、保育士不足の解消が急務です。そこで、幼稚園教員と保育士を同じ職種として一括採用し、人材配置を柔軟にする狙いがあります。

ただ、給与体系の統一にあたって、高いほうではなく低いほうに合わせる形になりました。県の教職員組合の試算では、幼稚園教員の初任給は月額で約1万4,000円下がり、勤続年数によっては年間40万円以上の減収になる人もいるとされています。市は差額を当面補填すると説明していますが、昇給額は新しい給与表に基づくため、実質的には将来にわたって影響が残ります。

一方で、国は引き上げに動いている

国の動きは対照的です。文部科学省は深刻な教員不足に対応するため、公立学校の教員に支給される「教職調整額」を現在の給料月額の4%から、2030年度までに段階的に10%へ引き上げることを決めています。教員採用試験の倍率が過去最低を更新し続けるなかで、民間企業に負けない待遇を整えなければ人材が確保できないという危機感からです。

「均衡」のために下げることの意味

大津市の事情には、行政として一定の合理性があるのかもしれません。幼稚園の園児が減り、保育のニーズが高まっているなかで、人材を柔軟に配置したいという狙いは理解できます。しかし、「均衡を図る」という理由で給与を低いほうに合わせることは、現場で働いている先生たちの気持ちを考えると、とても厳しい判断です。

教職員組合のアンケートでは、約2割の教員が離職や離職の検討を示したと報じられています。待機児童を減らすための人材確保策が、結果として人材の流出を招いてしまえば、本末転倒です。

保護者に知っておいてほしいこと

これは大津市の幼稚園に限った話ではありません。小学校でも中学校でも、先生たちの仕事がどう評価され、どう報われるかは、教室の質に直結します。給与が下がれば、なり手は減ります。なり手が減れば、先生が足りなくなります。先生が足りなくなれば、お子さんの学びに影響が出ます。

国が「先生の待遇を上げなければ」と動いているのは、まさにその危機感からです。子どもの教育を支える人たちの仕事が正当に評価される社会であってほしい。担任として、そう願っています。

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