2026年初頭、米国最高裁が下す判断が、世界の貿易構造を左右しかねません。争点となっているのは、トランプ関税が1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、大統領権限で一方的に課されたものとして合法かどうかという点です。仮に違法と判断された場合、最大1,300億ドル規模の関税還付が生じる可能性も指摘されています。この判決は、メキシコに多数進出する日本企業を通じて、日本経済にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。『富裕層が知っておきたい世界の税制【大洋州、アジア・中東、アメリカ編】』の著書である矢内一好氏が詳しく解説します。

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最高裁判断がもたらす「1,300億ドル返還」の現実味

2026年初頭の最大の注目点は、米国最高裁がトランプ関税について、1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき、大統領であるトランプ氏に一方的に関税を課す権限があったのか否かについて判断を下す点にあります。

 

仮に、同関税が違法と判断された場合、すでに徴収された関税の還付が必要となり、総額は1,300億ドル規模に達する可能性があるとされています。

 

日本においてもこの判決の行方は注目されていますが、より切実な影響を受ける国の一つが、米国と国境を接するメキシコです。

米国・メキシコ間で続く関税交渉と日本企業の存在

米国とメキシコは、2025年以降、関税を巡る交渉を長期間にわたり続けています。

 

米国は2025年10月27日、メキシコに対する30%の追加関税賦課を、90日間延期しました。この関税問題が米国とメキシコの二国間問題にとどまるのであれば、日本で大きく取り上げる必要性は低いかもしれません。しかし、メキシコには多くの日本企業が進出し、現地で生産した製品を米国へ輸出しているという現実があります。

 

外務省が作成した「日系企業海外拠点数(2021年)」によれば、メキシコの拠点数は1,272に達しています。これは米国の8,874には及ばないものの、カナダの953を上回り、台湾(1,310)、フィリピン(1,377)、マレーシア(1,210)とほぼ同水準です。

 

さらに、2007年時点でのメキシコ進出企業数は384社であり、約10年で3倍以上に増加していることが分かります。

中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。

著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。

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