7年前、福岡県川崎町で生後11か月の長女に暴行を加え、死亡させた罪に問われている母親の裁判です。11日に開かれた初公判で「私は故意に暴行を振るっていません」と無罪を主張しました。

傷害致死の罪に問われているのは、福岡県糸田町の無職、松本亜里沙被告、29歳です。
起訴状によりますと、松本被告は2018年7月、福岡県川崎町の当時の自宅で生後11か月の長女、笑乃(えの)ちゃんの頭部に強い衝撃を与える暴行を加え、3日後、急性硬膜下血腫などにより死亡させたとされています。
事件から3年半余りたった2022年、警察は「虐待による頭部外傷=AHTの疑いがあるとして松本被告の逮捕に踏み切りました。

事件から7年余りがたち、福岡地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で、松本被告は「私は故意に笑乃ちゃんに暴行など振るっていません」と起訴内容を否認し、無罪を訴えました。
笑乃ちゃんの死亡をめぐり、検察側は冒頭陳述で「つかまり立ちもできない笑乃ちゃんが自ら転倒するとは考えられない」と指摘しました。その上で「被告の暴行以外の要因は考えられない」と主張しました。
一方、弁護側は「松本被告は持病のてんかんの発作を起こし、抱いていた笑乃ちゃんを落とした、もしくは一緒に転倒した事故の可能性がある」と無罪を主張しました。
裁判では今後、医師への証人尋問などが予定されていて、判決は来年3月に言い渡されます。

虐待による頭部外傷=AHTや、赤ちゃんを激しく揺さぶることで脳が損傷する「揺さぶられっ子症候群」をめぐっては、無罪判決が相次いでいます。
日本弁護士連合会日弁連刑事弁護センターのまとめによりますと、2014年から2022年にかけ、AHTや揺さぶられっ子症候群が疑われる傷害や傷害致死事件で、1審や2審で言い渡された無罪判決は全国で23件に上っています。
無罪判決の理由としては「暴行によるものではない可能性がある」など、傷害が虐待や揺さぶりによるものと断定できないケースがありました。
事件から松本被告の逮捕まで3年半、初公判まで7年ということで、長期化の背景には虐待が疑われる事件の真相解明の難しさがありそうです。
