バルセロナがスペインリーグ第35節で永遠のライバルとの直接対決を制し、2季連続29回目となる25−26年シーズンのリーグ優勝を達成した。
2026年5月10日、レアル・マドリードを破り優勝を決めた後、トロフィーを空高く掲げて喜ぶバルセロナのフリック監督(AP)
■2季目も卓越した手腕
フリック監督は昨季、欧州5大リーグ最多のオフサイドを誘発したハイライン、リーグ戦で総得点を三桁の大台に乗せた爆発的な攻撃力などを武器に、就任1年目にしてスペインリーグ、国王杯、スペイン・スーパーカップの三冠を成し遂げた。
今季開幕後はけが人続出や脆弱な守備が問題となり、昨年10月のクラシコに敗れ、首位レアル・マドリードとの勝ち点差が5に開いたことで、指揮官の手腕に疑問を持たれることになる。
しかし、バルセロナにとってその試合はターニングポイントとなった。交代を命じられたビニシウスがシャビ・アロンソ監督に怒りを示したことで、Rマドリード内に不協和音が生じ、徐々に取りこぼしが増えていったチャンスを逃さなかった。
クラシコの敗戦を糧に、リーグ戦9連勝を達成して首位に返り咲き、ビリャレアルとアトレチコ・マドリードは後半戦を待たずに優勝争いから脱落したため、早々にRマドリードとの一騎打ちとなった。年明け後、ハイペースで勝ち点を積み重ね、優勝に向かって突き進んでいく。
最終的に、Rマドリードに勝ち点差を大きく引き離してリーグ2連覇を達成し、スペイン・スーパーカップと合わせて2タイトルを獲得したが、簡単な道のりだったわけではない。チーム戦術に不可欠だったイニゴ・マルティネスを失ったことや、サラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)の問題で再び満足いく補強ができず、夏に獲得できたのがジョアン・ガルシア、バルドグジ、期限付き移籍のラッシュフォードのみだったことを考えると、フリック監督がもたらせた功績がいかに大きいかが分かるだろう。
■「エゴは成功を殺す」
また、フリック監督は昨年8月に引き分けたラヨ・バリェカノ戦後、「エゴは成功を殺す」と今季を象徴する言葉を発した。これにより選手たちの振る舞いを改めさせ、チームの組織化に成功する。この意識改革はシーズンを通じて18人もの負傷を出し、戦力不足の状況が度々あったチームにおいて大いに役立った。
下部組織出身選手の能力を最大限に引き出し、スペイン人主体のチームで高い競争力を保ったことや、エリック・ガルシアやジェラール・マルティンなどを複数のポジションで適応させたこと、冬に獲得したカンセロでバルデやクンデの不調をカバーしたこと、主力の離脱が目立った攻撃陣をうまくローテーションしたことなども、その手腕が高く評価されるポイントとなっている。
リーグ優勝を決めた重要な要素として、1試合平均2.5得点(36試合91得点)という高い得点力が挙げられる。全大会を通じて6人が二桁得点を記録しているという事実が示す通り、さまざまな形からも得点できる強みが相手にとって大きな脅威となった。
2026年5月10日、優勝を決めトロフィーの横で喜ぶバルセロナのヤマル(ロイター)
■ヤマルが攻撃をけん引
攻撃陣の中で、特に卓越したシーズンを送っていたのはヤマルだろう。開幕直後は恥骨炎に悩まされたが、後半戦、ペドリやラフィーニャといった主力不在時には若干18歳ながらチームを牽引。リーグ戦28試合の出場で16得点11アシストを記録し、ドリブル成功数はスペインリーグで唯一、三桁台に到達する活躍ぶりで大きなインパクトを残している(※現在負傷中。復帰はワールドカップになる見込み)。
優勝のもうひとつの重要な要素となったリーグ最少失点の最大の功労者は、3月にスペイン代表デビューを果たしたGKジョアン・ガルシア。チームが昨季同様に大きなリスクを伴うハイラインの戦術を採用する中、1対1での驚異的な強さや高いセーブ率を誇り、リーグ最多となる15回のクリーンシートを記録し、サモラ賞(1試合平均の最少失点率GK賞)受賞が決定的である。
チームの指揮者を務めたペドリの功績も大きい。2度のけがに苦しめられながらもその圧倒的な存在感を損なうことはなかった。的確な状況判断、正確なプレーで中盤を見事にオーガナイズし、敵陣でのパス成功数がスペインリーグで最も多い選手になっている。
スペイン紙スポルトは優勝メンバーの今季のパフォーマンスを振り返り、特にスペイン人選手を高評価した。前述の3人(ヤマルが最高の10点、ジョアン・ガルシアとペドリが9点)に加え、クバルシ、ジェラール・マルティン、ベルナル、フェルミン・ロペス、フェラン・トーレスに8点と高い点数をつけている。
スペインリーグとスペイン・スーパーカップの2冠を達成し、国内で大成功を収めているバルセロナの次なる目標は、契約延長濃厚のフリック監督が優勝決定後に宣言した、14−15年シーズンを最後に10年以上遠ざかっている欧州制覇だ。今季の欧州チャンピオンズリーグではハイラインの代償を払い、Aマドリードに準々決勝で敗れる結果となったが、チームの立て直しに成功した名将のもと、来季こそヨーロッパの舞台で成功を収める姿を期待したい。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)
2026年5月10日、バルセロナのフェラン・トーレスがレアル・マドリードGKクルトワからゴールを奪う(ロイター)
2026年5月10日、優勝を決めた後、記念撮影に応じたバルセロナの選手たち(AP)