1週間ほど前に、オフィシャルから発表されたV・ファーレン長崎ホームゲームにおける一部飲食ルールの変更。リーグ終盤で、ここからのホームゲームでほぼ満員となりそうな中での発表ということで、その反響は想像以上である。

個人的に「ちょっと厳しくなった」とは思うものの、「お子さま用の適度なお菓子類」、「アレルギー食」、「お土産(会場内で開封しないもの)」、「ポケットに入る大きさのもの」といった点に配慮が感じられるのは良いことだと思う。ただ反応はさまざまで、大きく分けると「仕方ない」、「仕方ないけれど、スタグルを買うのが大変なのでそっちを何とかしてくれ」、「厳しすぎる。困る」というあたりだろうか。

基本、スタグル関連を買うのが大変なのは、あれだけの数が集まるイベントならば仕方ないことだし、これはもうシステムやら購入形態やらを抜本的に解決するしかなく、周囲がどうこうできることではない。クラブやスタジアムシティに「頑張って」と言うしかない。

「厳しすぎる。困る」というのは感情的に当然で、今までできていたことができなくなるのだから、不便に感じないわけはない。そう思う方がいるのは普通だし、納得できない面がある方もいるだろう。

ただ、そこは「街作り」と「町おこし」のどちらで考えるかで受け取り方がずいぶんと変わってくるのだと思う。なので、ちょっと「街作り」と「町おこし」についてかいつまんで話をしてみたい。以前、スタジアムシティに関する原稿を書いたときにも同じようなことを書いているので、既読感のある方はそのまま閉じていただけば幸いである。

【街作りと街おこし】

専門社会調査士で、京都市まちづくりアドバイザーなどを務めた谷亮治さんは、街作りを「街の人なら誰でも使える公共財作り」と定義し、公共財の前提は「非排除性(誰でも使える)」、「非競合性」(誰かが使ってもなくならない)」としている。

例えば、道路は誰でも使えて、なくならないので公共財。横断歩道も、街中で子どもたちが遊んでいる公園も同様だ。そして、ここからは私の私見も入るのだが、公共財の中には、道路や公園のような「完全無欠の公共財」と「可能な限りハードルを下げた不完全な公共財」が存在する。その一例が、できるだけ非排除性・非競合性を重視し、格安の料金で誰でも使えるようにした運動公園の競技場である。長崎だとトランスコスモススタジアムをイメージしてほしい。

こういった「運動公園の競技場」は、維持管理のために最低限の料金は徴収するが、原則的に公共財なので、可能な限り全公園利用者に公平な利用をしてもらうのが大前提であり、そのために「公園法」なんて法律が存在する。

公園法では、公園内での行為(占用、ゴミのポイ捨て、火気の使用など)に規制がかけられており、そのためにイベント時に利益追求を十分にできないことも多い。すべての利用者が公平に使えるよう、イベント主催者が勝手に導線や売店を作ったり、イベント時に駐車場を販売できないというわけだ。(以前、長崎がホームゲーム時にトラスタの駐車場をパスとして売りに出す際も、かなり行政を調整して例外的に認められたが、それ以前はどれだけお願いしても販売を許可してもらえなかった)

それもこれも、その施設が「誰でも使えて、なくならない公共財」だからこその規制であり、その代わりに建設や維持管理は原則として税金で賄われる。利用者は建設費と維持管理費の大半を(税金なので巡り巡って我々のお金なのだが)、特別に手出しすることなく、場所などに関わりなく全県民、ひいては全国民から負担してもらえるわけだ。

対して、ビジネスは「排除性(お金を払わないと利用できない)」が特徴だ。公共財との決定的な違いである。そのため一見、公共財に近い取り組みであっても「街作り」とは言えず、似て非なる「町おこし」と定義すべきものである。例えば、街コンなどは原則的に参加条件と一定の費用があり、行政が関わることも多いが純粋な意味で公共財とは言えず、「街おこし」イベントである。

そういう観点でいえば、スタジアムシティは「街おこし」であり、根本的に利益を追求して、その利益でクラブ・スタジアムを維持する。そのかわり原則として税金は投入されない。これまで試合の日も公園のように使えたスタジアムシティは、眺めが良く、快適な店内に弁当持ち込み可能だった飲食店みたいなもので、あまりないタイプのサービスを展開していたわけである。そういうサービスが一年目は特別に許されたんだなという見方もできる。

私は基本的に「そのコンテンツの価値を本当に決めるのはファン」だと思っているので、今回のサービスがなくなって、スタジアムシティの価値が下がったと思うのも、そんなの関係ないと考えるのもファンそれぞれだと思う。

ただ、私は14階のレストランからたくさんのOBたちがスタジアムを見たときに口々に語った「こんな凄い施設は他にない」「最高のスタジアム」「いろいろあったけど、ここまで来たんですね」という感想がすべてだと思っているし、良い記事を書いて、もっとV・ファーレンが好きな人を増やして、たくさんのお客さんに来てもらって、「業績が好調すぎるので、飲食持ち込みは再び自由になります」的リリースを出せるようになりたいなと。

そんなことを考えながら、今日もスタジアムシティを見ているのである。

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