公開日時 2025年07月11日 05:00
![]()

第32軍司令部壕展示施設基本計画検討委員会であいさつする小倉暢之会長=10日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるる研修室
この記事を書いた人
![]()
琉球新報朝刊
沖縄戦を指揮した第32軍司令部が拠点とした首里城地下の司令部壕について、保存・公開を進める県は10日、「第32軍司令部壕展示施設基本計画検討委員会」(会長・小倉暢之琉球大名誉教授)の第1回会合を那覇市で開いた。2029年度開設予定の32軍壕の全体像を伝える展示施設は那覇市首里金城町の県立芸術大学文化研究所敷地を候補地とし、実物公開と、仮想現実(VR)などの先端技術で沖縄戦の実相と教訓を次世代に伝えるといった方向性を示した。
委員からは、県が示したメッセージをより明確にする必要性や、軍事的な視点だけでなく住民の視点を盛り込むべきだといった意見が出された。
県は、施設の伝えたいメッセージとして「次世代とともに、沖縄のこころ、平和を求める思いを共有する」と示した。主な利用者層を平和学習の学校と観光客など一般の人を想定。展示構成は七つのテーマを設定し、導入から始まり、壕と機能の紹介、司令部と沖縄戦、遺物と証言の展示、坑道体験などの流れを説明した。
沖縄戦研究の吉川由紀委員(沖縄国際大非常勤講師)は「学びの場」をコンセプトとし、対象年齢を決める必要性を指摘。さらに「第32軍がここを放棄したことによって県民の犠牲を膨大にした。南部一帯の惨禍を理解する起点になる場所で住民の目線でどう残すかに重きを置かないと、ただ単に戦線の移動という理解になる」と述べた。
平和学習の玉城直美委員(うなぁ沖縄代表)は県のメッセージが「ふわっとしていて軍事マニアの人が来たら面白おかしく見てしまうのでは」と懸念を示した。海外の事例も参考に、海外の人にも伝わるような後世に残すメッセージを明確に定めるべきだとした。
施設面積は、県は400~500平方メートル前後が必要だと示した。展示スペースは300平方メートル程度になるとして山本正昭委員(県立博物館・美術館主任学芸員)は「物を並べるにも限度がある。必然的にデジタルコンテンツの有効活用が鍵になる」と指摘。今後、建築基準の制約や展示内容、年間来場者数などを踏まえ、必要面積を検討していくことを確認した。
検討委の会合は第1回は公開だったが、施設整備計画と内容計画の検討に入る次回から展示施設基本計画(素案)を話し合う第4回まで非公開と決めた。第5、6回は公開とし、本年度末までに計画を策定する。
(中村万里子)
