村外の学生らも協力
地域でホタル保護活動

雨が降る中、「ほたるの学校」に向かう

 

 書家の逢香さんが県内各地を訪ねて地域の魅力を発信する「逢香の華やぐ大和」。今回は御杖村の夜を散歩し、夏の風物詩「ホタル」を堪能。自然が生み出す幻想的で優しい光に癒やされました。(梶田智規)

 

ほたるの学校

 昨年10月に発足した地域おこし団体「御杖村ホタルを100年守る会」(平田勝美会長)。ホタルの保護活動に取り組むとともに、ホタルの生息・成長・生態を学ぶ「ほたるの学校」を開催している。

 

 昨夏、同村で「半夏生(はんげしょう)」を鑑賞した逢香さんは、「御杖村でホタルが見られるとは知りませんでした。昨年も村の方には良くしていただき、再訪するのを楽しみにしていました」と笑顔。まずはホタルのことを深く知るため、メモを片手に平田会長の授業に耳を傾けた。

 

「ほたるの学校」で授業を受ける逢香さん

 

 この日の学校は、小学校の木造校舎を改造した合宿型宿泊施設「三季館」(同村桃俣)で開校。夫婦やカップル、親子連れや大学生ら約20人が参加した。

 

 同村には、サイズが大きくて高く飛ぶのが特徴的なゲンジボタルとその約半分の大きさで田んぼの上などを低く飛ぶヘイケボタルが生息。特にゲンジボタルの雄が多いという。雄は雌より小さいが光が強く、活発に飛び回る。

 

 逢香さんは「ゲンジボタルとヘイケボタルの名前の由来」や「御杖村のホタルが減少している理由」など、平田会長に次々と質問。名前には二つの有力な説があり、一つは紫式部の「源氏物語」の主人公である光源氏に由来するという説、もう一つは「源平合戦」になぞらえて付けられたという説があるという。

 

平田会長に積極的に質問

 

 ホタルの減少は、大雨による増水や猛暑など、気候の変化が大きく影響している。平田会長らは産卵を手伝うなどしてホタルの減少に対応しているという。逢香さんは孵化(ふか)した幼虫を見てほほ笑んだ。

 

ホタルの幼虫を見てほほ笑む

 

 

バーベキューで参加者と交流、地元食材も

 ホタルの授業の後は、同施設でバーベキューを楽しんだ逢香さん。地元で作られた無添加のこんにゃくや野菜、隣の三重県のブランド和牛「伊賀牛」などが並び、参加者は食事と会話を楽しんだ。逢香さんは「こんにゃくはプリプリしていて歯ごたえがある。お肉もジューシーで、野菜もみずみずしくておいしいですね」と満足顔。

 

参加者とバーベキューを楽しむ逢香さん

 

参加者とバーベキューを楽しむ逢香さん

 

 参加者には、村の魅力をSNSなどで発信する「御杖村地域観光PRサポーター」の奈良県立大学4年、原田菜月美さん(22)と須軽寧弥さん(20)も。昨年もホタルを鑑賞し、この日の授業でも生態などについて詳しく聞いた。

 

 逢香さんは「地元の人たちだけでなく、村外に住む若い人たちが御杖村を好きになり、魅力を引き出そうと考えて行動している。ホタルの未来も明るいな」とほほ笑んだ。

 

参加者と交流する逢香さん

 

 

ほたると星の夜さんぽ

 同村神末の道の駅「伊勢本街道御杖」に移動し、いよいよ本日のメインイベント「ほたると星の夜さんぽ」。村内外から約90人が参加し、ホタルの鑑賞スポットである丸山公園へと足を延ばした。

 

 この日はあいにくの雨で星は見られなかったが、ホタルの鑑賞にはむしろ好条件。「ホタルは強い光や音を嫌う。丸山公園ではライトを消し、カメラのフラッシュはオフに設定して静かに鑑賞を」と平田会長の説明の後、逢香さんは参加者と共に提灯を受け取り、暗闇の中、ホタルの光を求めて進んでいく。

 

 丸山公園に到着して提灯の明かりを消すと、静寂の中、数匹のホタルが姿を現し、優しい光で逢香さんを照らした。「蛍の自然の光に温かさと日本の原風景を感じて癒やされます。ホタルがすごく近くに来てくれた」と興奮気味の逢香さん。「ホタルの種類で飛ぶ高さが違う理由など、現地で体験したからこそ感じる疑問があります。子どもたちにとっても、すごく良いイベントだと思います」と感想を語った。

 

参加者と共に提灯を受け取り、ホタルの鑑賞スポットに向かう

 

 

逢香の目

作品を手にする逢香さん

 

 今回の体験を経て逢香さんが選んだ言葉は「“ほ”のかに“た”だよい光“る”」。奈良で初めてホタルの光を目にして心がほっこりと温まった。

 

 地域の食材を楽しみ、地元の人たちの温かさにも触れた。「ほたるの学校」ではゲンジボタルのマニアックな情報も入手。「大満足の一日でした」と元気に締めくくった。

 

メモ

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修卒業。6歳から書道を学ぶ。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字を揮毫(きごう)。同年、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けるなど活躍中。大学入学後、変体仮名の授業をきっかけに個性豊かな妖怪たちに興味を持ち「妖怪書家」としても活動。奈良市観光大使。

 

 

 「逢香の華やぐ大和」は奈良新聞社とNHK奈良放送局のコラボ企画で毎月1回掲載。NHK「ならナビ」(午後6時30分~)内で2025年6月23日に放送されます。

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