5月24日に行われたジロ第14ステージは、カスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が逃げ切り勝利。チッコーネがリタイアした落車により、アユソやログリッチ、ティベーリなどがタイムを失った。
笑顔を向けるピーダスン photo:RCS Sport
この日もマリアアッズーラ纏うフォルトゥナート photo:RCS Sport
イタリアの3色が第14ステージに向かう選手たちを送り出す photo:RCS Sport
ジロ・デ・イタリア2025第14ステージ コースプロフィール image:RCS Sport5月24日に行われたジロ・デ・イタリア第14ステージのフィニッシュ地点は、総合5位につけるプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の母国スロベニア。ここ数年はタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツXRG)など多くのスター選手を輩出する自転車新興国だ。
スタート地点はピナレロが本社を置くトレヴィーゾで、ステージの分類は平坦。しかしコースプロフィールをよく見ると、終盤に3つの4級山岳が設定されており、ラストは13.8kmコースを約2周。イタリアとスロベニアを行き来しながらフィニッシュを目指す。展開予想は集団スプリントだったが、1つの落車がレースに混沌をもたらした。
スタート地点のトレヴィーゾでは、デルトロのメキシコ国旗が振られた photo:RCS Sport
メインチェスが遅れ、早々と4名となった逃げグループ photo:RCS Sport
時速61kmまで達したアタック合戦には、前日2位のワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も逃げを目指し参加する。そしてカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が逃げに繋がる動きを見せ、そこにミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・ビジットマルタ)が合流。遅れてクレマン・ベルテ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアール)らも加わり、5名の逃げグループが形成された。
逃げを容認したメイン集団は、共に集団スプリントに持ち込みたいアルペシン・ドゥクーニンクとヴィスマ・リースアバイクが牽引する。2分のリードを築いた逃げからは早々とルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ)が遅れて4名となる。雨がレース模様を映し出す中継カメラを濡らすなか、この日1つ目の中間スプリントはマエストリが先頭通過し、プロトンではマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)の1ポイント獲得をドリース・デボント(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアール)が阻止するシーンもあった。
プロトンはアルペシン・ドゥクーニンクとヴィスマ・リースアバイクが牽引 photo:RCS Sport
僅か24.3km先にある2つ目の中間スプリントに至る頃に、大粒の雨が選手たちを濡らす。ここはマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がトップで通過し、後続では今度はピーダスンがデボントを退けて1ポイントを獲得。そしてレッドブルKMをクリアし、ジロはピンク色の煙に迎えられながらスロベニア国境を越えた。
スロベニアに入ったプロトンは、1つ目の4級山岳に入る photo:RCS Sport
落車により右大腿四頭筋を痛めたジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
クレモン・ダヴィ(フランス、グルパマFDJ)が遅れ、3名となった逃げグループはこの日1つ目の4級山岳をクリア。プロトンはイネオス・グレナディアーズの先導によって1分15秒遅れで通過する。そして約2周するコースに入った残り23km地点で、メイン集団内で約10名が巻き込む落車が発生した。
この落車にマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)着るピーダスンが巻き込まれ、そのチームメイトであるジュリオ・チッコーネ(イタリア)は苦痛に顔を歪めながら沿道に一度腰を掛ける。その後何とかバイクに跨がり、チームメイトのアシストを受けながら完走したものの、右大腿四頭筋の怪我によりそのままリタイアとなった。
集団中ほどで発生したこの落車により、集団は分裂。有力選手を含む16名の第1追走集団が形成される。ここにヴィスマは4名(ファンアールト、コーイ、レメン、Sイェーツ)を入れる一方、UAEチームエミレーツXRGはマリアローザを着るイサーク・デルトロ(メキシコ)が単独で入る。遅れたフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG)は、ログリッチやエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)と共に前を追いかけ、総合3位のアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)はさらに遅れ、チームメイトと共に第4グループを形成した。
残り6.1km地点でアタックしたカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport
残り13.8km地点に設定された周回コースのフィニッシュラインを1度目に通過した時点で、逃げとデルトロ・グループとの差は27秒。アユソ・グループは1分8秒、ティベーリたちは2分差で追いかける状況でレースは終盤に入る。ファンアールトが積極的にペースを作るなか、ノヴァ・ゴリツァ市街地に敷かれた石畳にデルトロが後輪を滑らせる場面があったものの、幼少期に親しんだマウンテンバイクで培ったテクニックを活かし、何とか落車を回避した。
アユソ・グループではログリッチのために、ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が懸命にハイペースを作る。しかし最後まで先頭はもちろん、デルトロたちに追いつくことはなかった。
集団スプリントが予想されたステージで、総合勢が混沌とした状況に陥るなか、ステージ優勝を決定付ける動きは残り6.1kmに起こった。13秒差まで追い詰められた3名の逃げ集団からアスグリーンがアタック。その後も懸命に脚を回し続け、2023年のツール・ド・フランスと同じく、逃げ切りからステージ優勝を飾った。
逃げ切り勝利を決めたカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
チームメイトと勝利を喜ぶカスパー・アスグリーン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport
2018年のプロデビューから約7年所属したスーダル・クイックステップを離れ、今年加入したEFで自身2度目となるグランツールの区間優勝を挙げたアスグリーン。「逃げに適したステージではなかったものの、グランツールの後半戦は小さな集団でも逃げ切れる可能性がある。スロベニアのコースはテクニカルだったので、雨が味方してくれた。チームとしての目標はリチャル(カラパス)での総合争いだが、僕に逃げに乗る許可をくれた。だから全力で勝つチャンスを掴みに行った。上手くいって本当に嬉しいし、この勝利を誇りに思う」とアスグリーンは、初出場のジロで掴んだ勝利の喜びをそう語った。
16秒遅れでやってきた追走集団の先頭は、コーイをスプリントで下したグローブスが獲り、ステージ2位に入る。マリアローザを守ったデルトロと共に、この集団に入っていたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)は総合順位を6位から4位に上げ、同様にサイモン・イェーツは総合2位に浮上。一方、ログリッチと共に1分4秒遅れてフィニッシュしたアユソは総合3位に順位を下げ、このステージ最大の被害者となったティベーリは2分遅れで総合3位から8位まで大きく順位を落としている。
2位スプリントはカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が先着 photo:CorVos
