3月、アメリカ西部カリフォルニア州の裁判所で、10代のSNS依存をめぐり、運営企業側の責任を認める陪審評決が下された。市民からなる陪審裁判でSNS依存をめぐる判断が示されたのは初めてで、今後、SNSの形が変わる可能性があるとして現地では大きく注目された。背景にはSNS依存の末に子どもが自ら命を絶ったと訴える親たちの悲痛な声がある。SNS発祥の地であるアメリカ。この国における「10代のSNS依存」問題をめぐる現状をJNNロサンゼルス支局の小川健太支局長が報告する。
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■「SNS企業は子どもたちの心を貪り食った」
「SNS企業はトロイの木馬のようなものだ。子どもたちの生活に入り込み、扉を開け放ち、その心を貪り食った」。ロリー・ショットさん(64)は怒りを込めて話した。娘のアンナさんは2018年、18歳で自ら命を断った。
ショットさん一家が暮らしていたのは、アメリカ西部コロラド州の人口300人にも満たない小さな町だ。娯楽が多くはない地域で、アンナさんにせがまれる形で13歳の頃にスマートフォンを買い与えた。友人たちと出かける年ごろになり、緊急時の連絡手段としても使えると考えた。
直後からSNSを利用したいとアンナさんはせがんだ。ロリーさんは、投稿内容に責任を持つよう伝えた上で、母親のフェイスブック・アカウントから投稿することを前提に認めた。アンナさんもそれに納得していたという。
しかしアンナさんはロリーさんに気付かれないよう、インスタグラムやTikTokなどのSNSアカウントを作成していた。
アンナさんは次第にSNSに執着するようになる。スマホは夜間、キッチンに置いておく決まりだったが、アンナさんは夜中に気づかれないよう持ち出し、再び元の場所に戻すこともあったという。
注意しても直る様子がないことに不安を覚えたロリーさんは、アンナさんのスマホを自分の職場まで持っていくこともあったという。SNSをめぐり親子が衝突する回数も増えていった。
