スロベニア出身GCライダーのログリッチは、通算2回目のジロ・デ・イタリア個人総合優勝、通算6回目のグランツール総合優勝を狙う。2025シーズンのプリモシュは好調を維持しており、すでに3月に1週間に渡って開催されたボルタ・ア・カタルーニャで個人総合優勝を獲得している。
しかし、ログリッチのタイトル獲得はひとりで成し遂げられるものではない。ジロ・デ・イタリア2025では、チームメイト7名がマリア・ローザを目指す彼を支える。本記事では、ジロ・デ・イタリア優勝経験者から未来を担う逸材までが含まれるレッドブル=ボーラ=ハングスローエのジロ・デ・イタリア2025ライダーラインナップ、ロール、ストラテジーを紹介していく。
レッドブル=ボーラ=ハングスローエ
© Charly López/Red Bull Content Pool
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主なロールとタイプ
ジロ・デ・イタリアのようなグランツールでは、ライダー8名で1チームを構成するが、全員が優勝を目指して数週間走り続けるわけではない。チーム内には複数のロール(役割)が用意されており、それぞれのライダータイプに適したロールが割り当てられる。ロールとタイプを簡単に解説しよう。
エースは全ステージ合計での最速タイム(個人総合優勝)を狙うライダーだ。そのため、チーム内における総合力ナンバーワンライダーが担うことが多い。チームメイト全員がこのライダーを勝たせるためにそれぞれの仕事をしていく。ライダータイプの “GC(General Classification / ジェネラル・クラシフィケーション)” は基本的にエースを担えるポテンシャルを備えている。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、プリモシュ・ログリッチがこのロールを担う。
ドメスティークとも呼ばれるアシストはその名の通り、エースをアシストするライダーで、エースの個人総合ランキングのリードを守ったり、首位との差を縮めたりするために走行する。
アシストが各ステージで任される仕事は多岐に渡り、エースの風除け、エースの牽引、ペロトン内のエースのポジションの確保、エースへの栄養・水分補給、チームカーからの作戦の伝達、ライバルチームのアタックの牽制・追走、ゴール前へエースやスプリンターを送り出すための高速の引きなどが含まれる。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、エースを除く全員が何かしらの形でこのロールを担う。
ステージ走行中のチームをまとめるロールがロードキャプテンだ。ロードキャプテンは経験豊富で、ステージスタート前にチームが決めた作戦をステージで実行していくが、同時にエースを守るまたはチャンスを活かすためにその場で判断を下す、またはアクシデントに対応する。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、ヤン・トラトニクがこのロールを担う。
レースが山岳ステージを迎えると、エースはクライマーのアシストに頼ることになる。クライマーはその名の通りクライミングのスペシャリストで、上り坂を得意としている。エースではないクライマーの仕事はエースの状況(個人総合で首位かどうか)によって変わってくる。
エースが首位に立っている場合は、ライバルチームのあらゆるアタックを牽制あるいは追走して潰し、エースから余計な労力やプレッシャーを取り除く。一方、エースが首位との差を詰めなければならない状況では、クライマーはトップ集団でペースアップやアタックを仕掛けてライバルチームのクライマーやアシストを疲労させて、ライバルチームのエースの孤立を試みる。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、ダニエル・フェリペ・マルティネスなどがこのタイプに相当する。
タイムトライアリスト
グランツールのステージの大半は通常のロードレースだが、1〜3ステージがタイムトライアルステージとなっており、個人またはチームで特定のコースでのタイムを競い合う。タイムトライアリストはこの種のステージのスペシャリストで、ソロでハイパワーを出力できるライダーが担う。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、ヤン・トラトニクがこのタイプに相当する。
ロードレースは複数の地形と専門性を備えたステージ群(タイムトライアル、スプリント、山岳、丘陵、平坦)で構成されているが、オールラウンダーはすべてのステージでも実力を発揮できる。基本的に、エースまたはナンバー2として起用されるときが多いGCタイプのライダーはオールラウンダーの才能を備えている必要がある。
ジロ・デ・イタリア2025のレッドブル=ボーラ=ハンスグローエでは、ジャイ・ヒンドレーがこのタイプに相当するが、基本的にGCタイプはオールラウンダーの才能を備えている必要がある。
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レッドブル=ボーラ=ハンスグローエ:ジロ・デ・イタリア2025用ラインナップ
プリモシュ・ログリッチ
エースを担うプリモシュ・ログリッチ
© Sebastian Marko/Red Bull Content Pool
35歳のスロベニア出身ライダーのプリモシュ・ログリッチは、レッドブル=ボーラ=ハンスグローエでの最初のシーズンを成功裏に終え、チーム初・自身4回目のブエルタ・ア・エスパーニャ優勝を飾った。
現チーム体制で初めて迎えるジロ・デ・イタリアとなる今年は、ブエルタ・ア・エスパーニャに続くグランツール2連勝、ログリッチ4回目のジロ・デ・イタリア優勝が目標になる。わずか14秒差でジロ・デ・イタリア2023のマリア・ローザを手にしているログリッチは、今年も当然優勝候補に数えられている。
ジャイ・ヒンドレー
ナンバー2を担うジャイ・ヒンドリー
© Tim de Waele/Getty Images
ジャイ・ヒンドレーは “スーパードメスティーク” であり、ナンバー2としてライバルチームのアタックを牽制、または自分のチームのアタックのセットアップを担いながら、ログリッチをアシストしていく。
現時点でジャイ・ヒンドレー以外にこのロールに相応しいライダーはいない。ジロ・デ・イタリア2022で個人総合優勝を手にしており、このグランツールで優勝に必要な条件を熟知しているこの29歳のオーストラリア出身ライダーは、ログリッチを最初から最後までアシストできる。ログリッチがトラブルで出走できない・出遅れた場合は、ヒンドレーがエースとしてチームを率いることになる。
ダニエル・フェリペ・マルティネス
アシストのダニエル・フェリペ・マルティネス
© Dario Belingheri/Getty Images
ダニエル・フェリペ・マルティネスはチームの要と言える。レッドブル=ボーラ=ハングスローエは通算108回目のジロ・デ・イタリアに豪華な布陣を用意した。何しろ、エースのログリッチは、ジロ・デ・イタリア2024総合2位のマルティネスをアシストとして頼ることができるのだ。
コロンビア出身のマルティネスはレースの行方を決める山岳ステージで重要な仕事を任される。急峻な上りでペースアップしてライバルたちを振り切るはずだ。
ベテランのヤン・トラトニクがチームを下支えする
© Szymon Gruchalski/Getty Images
ログリッチと同じ35歳のスロベニア出身ライダーがヤン・トラトニクだ。トラトニクは経験豊富で、グランツール出場10回(うち5回はジロ・デ・イタリア)を誇る。
ジロ・デ・イタリア2025のトラトニクの主な仕事は平坦・丘陵ステージでチームを牽き、厳しい上りの手前でクライマーに引き継ぐことだが、タイムトライアリストでもあるため、第2ステージと第10ステージに設定されている個人タイムトライアルでは上位進出を狙うはずだ。
ジャンニ・モスコン
ジャンニ・モスコン
© Tim de Waele/Getty Images
ジャンニ・モスコンはイタリア出身のワンデイレースのスペシャリストで、レッドブル=ボーラ=ハングスローエ移籍後初のグランツールを迎える。
クラシックで多くの実績を残してきたモスコンは、積極的に逃げを仕掛けてログリッチをアシストできるが、同時に個人総合優勝候補ライダーたちが足を休ませるステージでは優勝を狙うこともできる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024に出場したニコ・デンツ
© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool
ニコ・デンツはジロ・デ・イタリアの経験が豊富だ。この現在31歳のドイツ出身ライダーはキャリア通算7回目のジロ・デ・イタリアを迎える。
デンツは重要なアシストのひとりで、ログリッチの風除けになりながらチームカーから渡されるフードとドリンクをエースに渡す役割を担うが、逃げのスペシャリストとしても期待されており、ジロ・デ・イタリア2023ではその才能を活かしてステージ優勝を2回記録している。
ジョバンニ・アレオッティ
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024に出場したジョバンニ・アレオッティ
© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool
ジョバンニ・アレオッティは25歳のイタリア出身ライダーで、ボーラ=ハンスグローエ時代から5シーズン連続でジロ・デ・イタリア出場を続けている。
いずれチームのエースを担うライダーとして期待されているアレオッティは、今年はヒンドリー、マルティネスと組んで主に山岳ステージでログリッチをアシストすることになる。
ジュリオ・ペリッツァーリ
ボルタ・ア・カタルーニャのチームバス内でくつろぐジュリオ・ペリッツァーリ
© Max Fries/Red Bull – BORA – hansgrohe
ジュリオ・ペリッツァーリは、昨年のジロ・デ・イタリアで活躍して注目を集めた若きイタリア人ライダーだ。マッテオ・ソブレロがトレーニングライド中のアクシデントでクラシックとグランツール初戦に出場できなくなったことから、レッドブル=ボーラ=ハングスローエ移籍直後にもかかわらず、ジロ・デ・イタリアのラインナップに加わることになった。
ペリッツァーリもGTライダーとして将来を嘱望されている若手のひとりで、今年のジロ・デ・イタリアの山岳ステージで結果を出せるポテンシャルを秘めている。昨年のジロ・デ・イタリアの山岳ステージ総合でタデイ・ポガチャルに次ぐ2位に入ったペリッツァーリは、地元イタリアの声援を背に受けてさらに上を目指すはずだ。









