
伊ウニクレディトによる買収を阻止している独コメルツ銀行のオルロップ最高経営責任者(CEO)。2026年2月11日、フランクフルトで行われた記者会見で REUTERS /Thilo Schmuelgen/File Photo
[フランクフルト 6日 ロイター] – イタリアの銀行大手ウニクレディトがドイツのコメルツ銀行を買収する準備を進めている状況でドイツ政府内の一部関係者は、戦略的と位置付けるコメルツ銀行の株式をさらに取得し、好ましくないと見なすイタリア勢による買収を阻止するために劇的な措置を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
ドイツ政府は20年前の金融危機時の救済措置後からコメルツ銀行の株式を既に12%保有している。状況を直接知る匿名を条件とした2人の関係者によると、ドイツ政府の一部関係者は、政府系銀行のドイツ復興金融公庫(KfW)を利用してこの保有株を買い増し、完全買収を阻止できるだけ十分大きな持ち分を作り出せるかどうか検討しているという。
そのような措置はとりわけ数十億ユーロもの資金を確保する必要があるなどいくつかの障壁に直面しそうだが、欧州最大の経済国の屋台骨である中堅・中小企業に対する金融業者としてのコメルツ銀行の役割から正当化される可能性があるだろうという。
ドイツ政府とコメルツ銀行の経営陣はウニクレディトのアンドレア・オルセル最高経営責任者(CEO)が進める370億ユーロ規模の国境を越えた買収を阻止できず、苛立ちを募らせている。
オルセル氏は2024年からコメルツ銀行の買収を追求しており、メルツ首相やコメルツ銀行のベッティーナ・オルロップCEOが警告しながらも株式の持ち分を既に約30%まで積み上げている。
閣僚たちの内輪もめのために経済改革の約束を果たせず、ドイツ経済は事実上の停滞状態で、もしも何も手を打たなければドイツ政府の評価をさらに傷付ける恐れがある。
自動車から機械までドイツ製品の最大の買い手である米国からの関税の脅威に直面するドイツは、コメルツ銀行を失えば一段の打撃となるだろう。ドイツ国内で人員削減が加速しており、中国はかつての安価な生産拠点からドイツの最重要産業のいくつかでライバルに姿を変えた。
A table of key metrics at the two banks.
A line chart with LSEG data shows share performance.
コメルツ銀行の所有権を巡るこの激しい争いはオルセル氏が5日に安値で買収を正式に開始し重大な局面を迎えた。オルセル氏はコメルツ銀行が潜在能力を発揮できておらず、欧州が地政学的に混乱する世界で銀行の経営規模をより巨大化させれば恩恵を受けるだろうと主張している。
コメルツ銀行の経営陣は8日、投資家が自立経営の価値を納得するよう期待して最新の経営戦略を発表する予定だ。事情に詳しい別の2人の関係者によると、コメルツ銀行はこの10年間で3度目となるコスト削減策を明らかにし、人員削減案を含む可能性が高いという。
コメルツ銀行はこの10年間の初期にドイツ国内の全従業員の3分の1に当たる1万人を削減し、昨年はさらに3900人の人員削減計画を発表した。オルセル氏はフランクフルトの本部を大幅に縮小するだろうと明言している。
A timeline of key days in the Commerzbank-UniCredit saga
ドイツ政府は24年までコメルツ銀行の株式を現在よりもさらに多く保有していた。しかし、保有株の一部を売却しようとした試みが失敗し、広範な機関投資家よりもむしろウニクレディトに株が渡ってしまった。
ドイツ政府の現在の持ち分は45億ユーロ以上の価値がある。公開市場で買い付けて2倍以上に増やし拒否権を持つ25%の阻止的少数株主に達するのに少なくとも同額の費用がかかる可能性があるだろうが、それでもオルセル氏を阻止できないかもしれない。
KfWは第二次世界大戦後のドイツ再建に資金を供給するため1948年に設立された。ごく最近はコロナ禍の期間中にドイツ航空大手ルフトハンザ航空の救済を支援した。
A line chart of UniCredit’s Commerzbank stake.
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