日本銀行の植田和男総裁は、トランプ米政権の関税政策を受けた日本経済への影響に懸念を示し、今後の金融政策の見直しの可能性に言及した、と16日付の産経新聞が報じた。

  同紙によると、植田総裁は14日午後に行われた単独インタビューで、米関税政策は「2月以降は悪いシナリオの方に来ている」と指摘。そこまで悪いことは起きないだろうという淡い期待感が消えたという。米関税政策が国内経済に対する下押し圧力となった場合は「政策的対応が必要になるかもしれないが、情勢の変化に応じて適切に判断する」と語った。

  植田総裁は9日の信託大会のあいさつで、景気の改善が続いて見通しが実現していけば政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくとしつつ、米関税政策を巡って不確実性が高まっている点には十分に注意していく必要があるとしていた。インタビューでは、米関税を受けた景気の下振れリスクへの警戒感をより強めた形だ。

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  三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、植田総裁のインタビューでの発言について、「米関税政策は悪いシナリオだとはっきりと述べ、全体的にハト派的な印象だ」と指摘。債券の買い方向の材料として意識されるとの見方を示した。

  16日の債券市場で新発30年国債利回りは一時2.705%と、前日終値(2.815%)を11ベーシスポイント(bp)下回った。今国会での補正予算案見送りとの報道や、植田総裁のインタビューでの発言が買いにつながっている。

企業や家計の心理は一部反応

  同紙によれば、植田総裁は米政権の高関税政策に「企業や家計のコンフィデンス(心理)は既に一部反応しているものもある」とも指摘。関税政策が経済にもたらす影響を見極める考えを示したという。

  米国は日本に対する上乗せ税率を24%に設定。その後、他国と同様に90日間の停止措置を講じているが、10%の相互関税に加え、自動車や鉄鋼、アルミニウムには25%の関税がすでに導入されている。

  米国の関税措置を巡りトランプ政権との交渉役を担う赤沢亮正経済再生担当相は16-18日の日程で訪米し、ベッセント米財務長官とグリア通商代表部(USTR)代表と協議する。赤沢氏は15日の会見で、一連の追加関税措置の「完全な撤廃」を目標に、米側に対して見直しを強く求めていくと語った。

  ロイター通信は16日、日銀が4月30日から5月1日にかけての金融政策決定会合で、2025年度の経済成長見通しを大幅に引き下げる見通しだと報じた。米国の通商政策が輸出に依存したぜい弱な景気回復へのリスクを高めていることを理由に挙げている。

 

(今年度の経済成長予測に関するロイター通信社の記事を追加して更新します)

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