トランプ米大統領は9日、債券市場を「美しい」と呼んだが、米国債のトレーダーらにとって、まさに大混乱の1日となった。
米株と米国債が交互に急落する相場の乱高下が数日続いた後、9日の取引は、世界最大の債券市場の安定性に対する不安が高まる中で始まった。午後に入りトランプ米大統領が相互関税について、貿易相手国・地域ごとに設定した上乗せ分を中国を除いて90日間停止すると表明すると、流れが急激に反転し、リスクテーク大当たりの方向に完全に様変わりした。
トランプ政権の方針転換で、債券相場は大きく変動した。この日のより早い段階では、年内4回の米利下げが織り込まれていたが、今や3回に減った。
トレーダーの利下げ見通しが後退し、米連邦準備制度の金融政策への期待に最も敏感に反応する米2年国債の利回りは一時30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。取引時間中の上げ幅としては2009年以来で最も大きい。
その一方で、30年国債利回りは一時23年以来となる5.02%まで上昇後、4.7%まで急低下した。関税のエスカレートがインフレを再燃させるという不安の緩和が背景にある。
米国および新興国市場の債券の動きと株価の大幅な上昇は、より明るい経済見通しへの期待を反映したものだ。だが米国債については、売り圧力を吸収する年限がシフトしただけとの見方もできる。
クレジットサイツの米投資適格・マクロ経済戦略責任者ザカリー・グリフィス氏は「米国債にとって勝ち目のない市場だった。伝統的なリスクオンが利回りを押し上げ、貿易戦争に伴うリスクオフ懸念も利回り上昇を招いた。後者の場合は、(米国債の現物と先物との価格差から利益を得る)ベーシス取引の解消に加え、外国勢が売りに動いた可能性もある」と指摘した。

原題:Trump’s Tariff Pause Jolts Yields in a ‘No-Win’ Bond Market、Traders Trim Bets on Fed Cuts After Trump Pauses Most Tariffs(抜粋)
