東京バレエ団の秋山
瑛(あきら)
は、2022年にプリンシパルに昇格、今年は芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞と勢いに乗る。5、6月は、シェークスピア原作の名作バレエ「ロミオとジュリエット」で、ジュリエット役を踊る。(小間井藍子)
「カーニバルで踊る芸人たちのはつらつとした動きもクランコ版の特徴。稽古場で見て、自分も楽しんでいますね」=和田康司撮影 「カーニバルで踊る芸人たちのはつらつとした動きもクランコ版の特徴。稽古場で見て、自分も楽しんでいますね」=和田康司撮影  美しく荘厳だが、悲しい結末を予感させる不穏な響き。プロコフィエフ作曲の楽曲を使った「ロミオとジュリエット」は名だたる振付家たちによって様々なバージョンが作られてきた。今回上演されるのはクランコ版。欧州を中心に最もよく踊られているマクミラン版に影響を与えたといわれる傑作だ。初演は、1962年のドイツ。その特徴について、「いい意味でシンプル。だからこそ、演じる人の内面が出てくる難しい作品」と秋山は語る。

 東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理は、かつてクランコ版「オネーギン」で主演した経緯もあり、クランコ版「ロミジュリ」の上演を長年切望していた。そして一昨年、国内のバレエ団として初めて上演。秋山もジュリエット役を務めたが、「余裕は全くなかった。踊り終わっても役が抜けきらなくて。笑顔でおじぎがなかなかできなかった」と振り返る。 ダンサーたちの中でも際立ってきゃしゃな身体から繰り出される高い技術と強くしなやかな動き。だが、それでも太刀打ちできないのがジュリエットだという。「私は感情の強さを体の動きの強さとして出してしまいがち。感情の表現は何百、何千通りとある。前よりは表現の引き出しが増えていると思うので、ジュリエットのチャーミングさの奥にある芯の強さを見せていけたら」 団付属のバレエ学校出身で、イタリアで活躍後、2016年に東京バレエ団に入団。自身にとって転機となったのは、21年に主役を任された「ジゼル」という。終演後に斎藤から、「技術的には踊れているし、お客様は楽しんでくれたと思う。でも、私が期待したレベルには達していなかった」と言われ、ハッとした。「本当に作品を理解し、役を生きられていたかと問われるとそうではなかった。バレエへの向き合い方が変わった」
 今回、相手役ロミオを務めるのは若手のソリスト大塚
卓(すぐる)
。「スタイル抜群で勢いと情熱があるダンサー。雰囲気がロミオっぽい」と秋山は評する。「自分が引っ張っていけるか分からないけど、一緒に芸術家として高みを目指し、本番には必ずいいものをお見せしたい」。たくましく美しい、知的な看板ダンサーに育ちつつある。
 上野・東京文化会館で24~26日、6月7~9日の6公演。うち2回の公演で秋山がジュリエットを演じる。(電)03・3791・8888。