オレンジジュースが店頭から消える? 海外産頼みの原料果汁は、輸入先のブラジルが不作で、メーカーの販売休止や値上げが相次ぎ、先行きが見通せない。足もとでは物流費の高騰や円安を反映した値上げも重なる。国産のみかんを代わりに使おうとする動きも抜本的な解決にはならず、定番ジュースが入手しづらい「オレンジショック」はしばらく続きそうだ。(井上絵莉子)

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販売休止が相次ぎ、店頭に並ぶ商品も数少ない(14日、大阪市中央区で)販売休止が相次ぎ、店頭に並ぶ商品も数少ない(14日、大阪市中央区で)

 森永乳業は6月1日、主力商品の「サンキスト100%オレンジ」(200ミリ・リットル)を10円値上げし、130円(税別)にする。今後、原料の在庫がなくなれば、販売を休止する。ペットボトルの「バヤリースオレンジ」(アサヒ飲料)や紙パックの「オレンジジュース」(ヤクルト本社)など、すでに供給が休止されたおなじみの商品も多い。 スーパー「黒門中川」(大阪市中央区)では5月半ば、店頭に並ぶ商品は少なく、次回以降の入荷が不透明な商品もあり、店員(36)は「家庭用も、飲食店用も、値上げしても売れ行きは変わらないほどの需要がある。代わりを探すのは難しい」と嘆く。 買い物に来ていた大阪府高石市の会社員(52)も「日頃、1歳の孫のためにストックし、自分も好んで飲むのでなくなると大変」と心配する。円安も追い打ち 日本はジュースに使うオレンジ果汁のほぼ全量を輸入に頼り、その5割超をブラジルが占める。メーカーが在庫を持ちやすいよう、冷凍保存できるように濃縮して輸入されており、通常は品薄になりにくい。
 ところが、ブラジルでは2021年以降、かんきつ類の
壊死(えし)
などの被害をもたらす「カンキツグリーニング病」と大雨被害で、オレンジそのものの不作が続く。
 日本果汁協会(東京)によると、20年のオレンジ果汁輸入量は年間6万キロ・リットル超だったが、翌年は3万3948キロ・リットルまで急減。その後は回復に向かっているが、需要を満たすにはまだ足りない状況という。 さらに、数少ない原料を巡り、各国企業が競り合う状況に円安が重なり、20年に1リットルあたり259円だった輸入価格は23年、2倍近くの491円まで急騰した。ある飲料メーカーの担当者は「仕入れ価格は3年前より3~4倍高い。この状況は数年は続くだろうと覚悟している」と明かす。国産みかんを多く えひめ飲料(松山市)が手がける「ポンジュース」。元々、ブラジルからの輸入材料と国産みかんをミックスしたオレンジジュースだが、4月に刷新した。みかんの割合を多くし、パッケージは「オレンジみかんジュース」から「みかんオレンジジュース」に変更した。同社は「国産のかんきつの価値を見直してもらえるよう取り組んでいきたい」と話す。 みかん産地では「飲料メーカーの問い合わせが増えている」(JA和歌山県農)が、農家の高齢化もあり、生産量は頭打ちの状況で、急な増産は困難だ。
 みかん農園「竹内農園」(和歌山県有田市)によると、そのまま食べる青果向けみかんの卸価格は1キロ・グラムあたり200~300円だが、加工用は10分の1程度の30~45円。代表の竹内
算浩(かずひろ)
さん(37)は「果汁用向けの卸売りでは利益につながらない。自社でジュースを生産するには手間とコストが大きい」と話す。
 飲料業界に詳しい飲料総研の宮下和浩取締役は「円安の影響もあり、需要の多い欧米に買い負けている。メーカーは当面、他の味に注力するか、価格転嫁するしかなく、消費者への影響が続くだろう」と指摘した。みかんとの違いは? オレンジとみかんはいずれもインド原産で同じ「かんきつ類」だが、日本人がイメージしやすい「温州みかん」は「ミカン類」、オレンジジュースによく使われる「バレンシアオレンジ」は「スイートオレンジ類」に分類される。みかんはビタミンCに加え、ビタミンAや食物繊維を多く含み、オレンジはそれらのほか、アミノ酸を多く含み、やや甘めで香りが強いものが多いとされる。国内産の野菜も高値  帝国データバンクによると、国内の主要食品会社195社が5月中に予定する飲食料品値上げは417品目。前年同月から半減した一方、値上げ率は31%と2022年以降の単月で最も高い。オリーブオイル製品を中心に50%を超える大幅な価格引き上げも目立つ。 分野別では「酒類・飲料」(253品目)が最も多く、「加工食品」(97品目)、「原材料」(66品目)と続く。担当者は「原材料高が再燃しており、円安も反映した値上げが今秋以降、広がっていく可能性がある」と指摘する。 国内産野菜も年明け以降、天候不順による出荷減少などで、1キロ・グラムあたりキャベツは220円、ブロッコリーは811円と、前年同期の2倍以上の高値になっている。

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