岡山市北区の鉛筆画家・大森浩平さん(29)の初の個展が、瀬戸内市立美術館(瀬戸内市牛窓町)で開かれている。作品はいずれも鉛筆による細密画で、実物の光沢や映り込みまで完璧に表現する「超絶技巧」は、来館者に“衝撃”を与えている。大森さんは心身のストレスなどから創作活動を一時休止していたが、岸本
員臣(かずおみ)
・同館長の熱心な働きかけで実現した。大森さんは「質感や重さまで伝わるような作品を描き続け、人の心を動かしたい」と話している。6月30日まで。(岡さくら)
「金属製のものは鉛筆で、より魅力を引き出せる」と語る大森さん(岡山県瀬戸内市で) 幼少期から図画工作に夢中だったという大森さん。「一つのことに集中するのは得意だったが、同時に二つ以上の物事を進めることは苦手だった」と振り返る。画塾へ通ってデザインを学ぶため大学へ進学したが、「大学で出される複数の課題を、同時にこなすのは難しい」と感じ、休学後に中退した。一方で同じ頃、インターネットで見た海外作家の写実画に感銘を受け、鉛筆画を描くようになった。
◇
SNS上で話題となり、大森さんの名前が知られるようになったボルトとナットの作品 転機が訪れたのは、2017年。ボルトとナットを描いた作品がX(旧ツイッター)で約30万件の「いいね」が付き、話題に。「力試しという感覚が、『人の心を動かす』というやりがいへと変わった」という。 だが22年9月、鉛筆画からの「引退」をSNS上で宣言。細かい部分にこだわるという性格により、創作だけでなく普段の暮らしにも神経をすり減らし、疲弊するようになった。「描いてきた作品が空気に触れることすら、ストレスに感じ、苦しかった」と話す。
残り:979文字/全文:1888文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
読者会員の方はこちらからログイン
![[社会] 実物そっくりに描く鉛筆画の「超絶技巧」、大森浩平さん初の個展「人の心を動かしたい」 [社会] 実物そっくりに描く鉛筆画の「超絶技巧」、大森浩平さん初の個展「人の心を動かしたい」](https://www.walknews.com/wp-content/uploads/2024/05/1716006080_20240517-OYT1I50181-1-1024x576.jpg)