音楽を聴く際、CDやレコードに代わって主流となりつつあるサブスク(サブスクリプション、定額制音楽配信サービス)。クラシック音楽の世界でも、老舗レーベルのドイツ・グラモフォン(DG)や米アップルがサービスを開始した。(金巻有美)

レオンコロ弦楽四重奏団…なめらか和音、無私の清々しさ

今年1月、東京・表参道の「アップル表参道」で行われたプレス発表会にゲストアーティストとして登壇したギタリストの村治佳織(左)と指揮者の佐渡裕今年1月、東京・表参道の「アップル表参道」で行われたプレス発表会にゲストアーティストとして登壇したギタリストの村治佳織(左)と指揮者の佐渡裕先月22日、ピアニストの辻井伸行(左)との専属契約について都内で記者会見するDGのトラウトマン社長。ステージプラスでは18日に辻井のコンサート映像がプレミア配信される (c)Ryota Mori先月22日、ピアニストの辻井伸行(左)との専属契約について都内で記者会見するDGのトラウトマン社長。ステージプラスでは18日に辻井のコンサート映像がプレミア配信される (c)Ryota Mori

 世界的にサブスクで音楽を聴くのが当たり前となる中、国内では一昨年、音楽配信の売り上げが初めて1000億円を突破した。ただ、ポップスなどと違い、クラシックは同じ作品でも様々な演奏者による異なる録音が多数あるため、目的の演奏にたどり着くのが困難だ。音質にこだわるユーザーも多い。 こうした課題に応えるものとして登場したのが、DGの「ステージプラス」と、クラシックに特化したアップルの「Apple Music Classical(AMC)」だ。 ステージプラスは音源と映像の両方を提供する配信サービスで、昨年4月に日本語版でのサービスを開始。新譜音源やライブ映像に加え、カラヤンやバーンスタインをはじめとする貴重な録音や、インタビュー、ドキュメンタリーといったアーカイブ映像を配信している。 一方、AMCは今年1月から音楽配信アプリとして日本語版を提供開始。「Apple Music」の利用者は追加料金なしで利用でき、多彩なプレイリストや音声ガイドなどを用意している。 両者とも、クラシックに特化した検索機能と音質を追求しているが、ターゲット層には明確な違いがある。AMCが「クラシック初心者からコアなクラシックファンまで」幅広く対象としているのに対し、DGは「クラシックへの教養と関心を持つ層、音楽家や音楽を学ぶ学生などを想定している」とする。過去録音聴き比べ 今やサブスクを中心に、インターネットに接続しながら音源を再生するストリーミング時代。作り手側にも変化が生じている。クラシック音楽を中心としたウェブメディア「FREUDE(フロイデ)」を運営する原典子は、「作り手がストリーミングに合わせるようになってきた。過去の録音も複数あり聴くのに数十分かかる交響曲や協奏曲、ソナタなどではなく、小曲をあるテーマのもとに集めたコンセプトアルバムを作る若手演奏家が増えている」と指摘する。 世界的チェロ奏者でAMCのアドバイザーを務めたヨーヨー・マは、「私にとって生の演奏は大切だが、ストリーミングは遠距離でも瞬時につながることができ、時間を超えて演奏を聴き比べられる」と語る。 「世界的に音楽市場そのものは成長している」とDGのクレメンス・トラウトマン社長。クラシックに特化したサブスクは、新たなファン層を掘り起こせるのか、注目したい。

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