インタビューに応じる電気事業連合会の林会長(東京都千代田区で)インタビューに応じる電気事業連合会の林会長(東京都千代田区で) 電力大手10社でつくる電気事業連合会は、政府が今年度見直しに着手するエネルギー基本計画で、原子力発電所の新設や建て替えができる環境づくりを期待している。2024年4月に会長に就任した林欣吾会長(中部電力社長)に話を聞いた。(聞き手・下里雅臣)

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日本の未来像を描くもの ――エネルギー基本計画の見直しに期待することは。 「非常に大切な計画だと思っている。日本の産業や生活はどうなっていて、どれくらいエネルギーが必要か、そのためにエネルギー事業者は何をすべきかという考えをまとめる。日本の未来像を描くものだと思う。 日本の経済がますます発展して、得意分野を伸ばす。データセンターを含めて、エネルギーの消費量はかなり増える方向にある。そのためには、なんと言っても安定供給を一番に考えなければいけない。 単にボリュームが満足すればいいだけではなくて、質も求められる。データセンターで少しでも停電になれば大変なことになる。脱炭素の電源でないと、買ってもらえないということもある。 そう考えると、再生可能エネルギーだけでなく、原子力発電所を最大限有効活用すること。今、12基が動いているが、それ以外の発電所も安全性の確保が大前提だが、再稼働させていく。合わせて、新規ないしリプレース(建て替え)、増設ができる環境を作って頂きたいというのが具体的なお願いだ。 火力発電所の有効活用も必要。二酸化炭素(CO2)を排出しない、排出しても保管できるような政策を合わせてやってもらいたい。火力発電が悪いではなく、CO2を少なくする、ゼロにすることが命題だ」沸騰水型の稼働も期待 ――原発の再稼働。電事連として何に取り組むか。 「現在は、加圧水型軽水炉(PWR)を中心に再稼働している。沸騰水型(BWR)の稼働も期待している。そうすれば、日本全体での原子力の有効活用に弾みが付くと思う。今年はBWRを含めた再稼働に取り組んでいきたい。 もちろん、各社が安全性を追求し、対策工事をやって、地域の皆さんの信頼を得ることが大事だ。電事連として情報共有や助言などをしていきたい」 ――使用済み核燃料の中間貯蔵施設について。前任の会長は、原発を持つ各社による共同利用を提案していた。 「エネルギー基本計画では、燃料の保管について、原発の敷地内に乾式貯蔵したり、敷地外で中間貯蔵したり、様々な方策をうたっている。現実的な解だと思っている。整備には、それぞれの事業主体が地域の皆さんの信頼や合意を得ることが必要だ。 共同利用するのかについて、地元や国の考えを聞きながら考えていくべきだと思っている。各論としてはこれから検討する段階だ」 ――核燃料の最終処分で、経済産業省が佐賀県玄海町に文献調査を申し入れた。 「高レベル放射性廃棄物の最終処分は国と原子力発電環境整備機構(NUMO)が進めていくことになっているが、われわれ事業者は発生者としての責任がある。地域や全国の皆さんに丁寧な説明をしていく義務がある。必ず解決しなければいけない大切な問題だ。 課題を後世に残すことがあってはならない。事業者として積極的に取り組んでいきたい。立地地域以外でも、最終処分に対する関心が高まることはとても大切だと思う」電気料金負担増、大変心苦しい ――政府による電気料金の補助が終わる。 「5月いっぱいで、国の激変緩和措置が終了する。再生エネの賦課金も上昇することになる。お客様の支払いが増えるのは事実で、大変心苦しく思っている。 電気料金が一番高かったのは2022年の後半から23年の頭にかけて。燃料価格が高くなり、エネルギー料金が上昇した。その時に比べると、燃料価格はかなり戻ってきている。負担額は少し減っているのではないか。電気料金にもメニューが増えた。省エネルギーを始め、工夫をすると負担も軽くなると思っている」 ――電力自由化から時間がたった。どう評価するか。 「電力自由化は非常にいいことだと思う。(電力需要と供給を一致させるために、電力消費量を変化させる)デマンドレスポンスも含めて、各社にはメニューがある。電気だけでないサービスも提供できるようになったのは自由化の成果だ。 一方で、市場によるところが大きく、短期的な目線になりがちだ。たとえば20年後まで事業を続けるかどうかについては、別のシステムを取り入れる必要がある。地政学リスクや脱炭素対応には市場だけでは補完できない」
 
◆林欣吾氏(はやし・きんご)
 1984年京大法卒、中部電力入社。専務執行役員販売カンパニー社長を経て、2020年4月から社長。池辺和弘・九州電力社長の後任として、24年4月から電気事業連合会会長。三重県出身。

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