性感染症「梅毒」の感染者が昨年、愛媛県内で142人と年間感染者数の過去最多を更新したことが、県感染症情報センターの集計でわかった。現在の調査方法になった1999年以降、140人を超えるのは初めて。今年も今月5日までに43人の患者が確認され、県や医師は早期の検査や治療を呼びかけている。(長尾尚実) 松山市中心部にある「ほこいし医院」。昨年は2、3か月に1人のペースで梅毒の疑いのある患者が来院した。男性がほとんどで、「性器に変なできものが出来た」などの病変を訴えたという。鉾石文彦院長は「数年前なら、梅毒は年に1人確認できるかどうかだった。既に珍しい病気ではなくなっている」と話す。 梅毒は、主に性的接触で「梅毒トレポネーマ」という細菌が体内に侵入し、感染する。感染後の約1週間から3か月で、性器や口などにしこりやただれが出来るが、症状はいったん治まる。無症状期間を経て、発熱や全身の発疹など多様な症状が出るようになり、心臓や血管、神経に異常が出ると死亡する場合もある。 ペニシリン系の抗菌薬の服用などで治療できる。鉾石院長は「現在は治る病気で過度に恐れなくてもいいが、傷口が触れあうなどすれば感染する可能性がある」と説明する。梅毒と診断された患者は皆、「まさか自分が」とショックを受けるという。「パートナーなど接触のあった人には、感染を確かめる血液検査を受けてもらわないといけない。それが感染の連鎖を抑える」と呼びかける。
梅毒の感染は全国的に広がっている。国立感染症研究所のデータなどによると、2021年以降に急増し、23年は全国で1万4906人(速報値)の患者が確認された。
同センターによると、県内の感染者数は16年以降に増加し始め、22年に120人と初めて3桁になった。23年はさらに増加して内訳は男性100人、女性42人。男性では40歳代が37人と最多で、30歳代が25人、50歳代が16人と続いた。女性は20歳代が14人と最多で、30歳代が8人、40、50歳代が7人だった。 届け出数は松山市保健所の管轄内が69人と最も多く、次いで西条保健所管内が24人だった。今治や四国中央保健所管内などでも増加している。感染経路は、ほとんどが異性や同性との性的接触によるものだったという。 県や松山市は、梅毒やエイズウイルス(HIV)への感染について、無料で匿名の検査を実施している。県では23年に411人が梅毒の検査を受けたという。県健康増進課の担当者は「不安のある人は積極的に検査を受けてほしい」と話している。
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