「環境省の歴史に消しがたい汚点を残した」「最低10分は必要だ」――。伊藤環境相が熊本県水俣市を訪れ、水俣病の患者・被害者団体に1日の懇談中にマイクの音を切った問題を直接謝罪した8日、当事者は次々と憤りをぶつけた。伊藤環境相は「(1団体の発言時間が)3分は厳しい。皆さんの心を十分な時間で聞けるようにしたい」と応じた。(白石一弘、石原圭介)山下代表(右)に謝罪する木内室長(左)山下代表(右)に謝罪する木内室長(左) 懇談での「不手際」は、被害者団体側の発言中に起きた。環境省の木内哲平・特殊疾病対策室長が司会を務め、事前に伝えた発言時間の3分を超えたとして環境省職員がマイクの音を絞った。この問題が日を追うごとに大きくなり、水俣市を再訪する事態となった。

 伊藤環境相はこの日の午後5時過ぎ、被害者6団体の代表9人が集まった同市の国立水俣病情報センターに到着。予定時間を超え、同6時過ぎまで熱心にメモを取りながら被害者側の訴えに耳を傾けた。
 マイクを切られた当事者で、「水俣病被害市民の会」の山下善寛代表(83)は「環境相の責任は重大。被害者の声に
真摯(しんし)
に耳を傾けてほしいと要望書を送っている」と述べ、改めて提出。環境相による謝罪と再度の懇談を求めるもので、「水俣病被害者の会」の中山裕二事務局長(70)が回答の期限を尋ねると、伊藤環境相は「数か月以内」と述べるにとどめた。
松崎副会長(手前)の話を聞く伊藤環境相松崎副会長(手前)の話を聞く伊藤環境相 終了後には同市の水俣病センター相思社に向かい、「水俣病患者連合」の松崎重光副会長(82)とも面会した。 伊藤環境相の再訪は急きょ決まった。謝罪に先駆け、複数の被害者団体で組織する「水俣病被害者・支援者連絡会」は予定通りに記者会見を開き、マイクの音を消した行為を「被害者の弁論を封殺する暴挙」と訴えた。会見終了後、木内室長が会見場に現れ、出席した山下代表に謝罪する場面もあった。 熊本県の木村知事は、「環境省が主催、運営している懇談でこのような事態になったことを大変残念に思う。(懇談の)運営は適宜見直されるべきと考える。関係団体の声を聞き、実りある場となるよう、環境省に改善をお願いしたい」との談話を出した。

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