県立山口博物館で展示されている「エティオケタス」の化石 山口県立山口博物館(山口市)が所蔵する2800万年前のクジラの化石について、現代のナガスクジラやミンククジラと同じヒゲクジラ類の絶滅種「エティオケタス」であることが専門家の調査でわかった。進化の謎に迫る貴重な標本とされ、4月から博物館で常設展示されている。(小林隼)
化石は頭の一部で、大きさは30センチほど。2013年に北九州市の離島・馬島で発見され、博物館の学芸員が知人を通じて入手した。当時からクジラのものとみられていたが、具体的な種類は不明で、恐竜などの化石研究で知られる群馬県立自然史博物館に鑑定を依頼していた。 海生哺乳類を専門とする学芸員の木村敏之さん(53)ら研究チームが調査したところ、クジラの全長は推定で3メートル弱。国内外で発掘された別の化石との照合作業を10年近く断続的に行った結果、頭の形状などから「エティオケタス」であることを突き止めた。 ヒゲクジラ類は口内に歯がなく、代わりに「クジラヒゲ」と呼ばれるブラシ状の器官を持つ。海水ごとプランクトンや小魚をのみ込み、餌をこし取って体内に取り入れる。効率的に大量の栄養を摂取する仕組みで、クジラが大型化した要因になったとみられている。 エティオケタスも同じ仲間に分類されるが、歯を備えていることから「歯を持つヒゲクジラ類」と呼ばれる。直系ではないものの原始と現代のクジラをつなぐ進化の中間段階に位置づけられるという。 国内では、同年代の地層から歯を持たずにクジラヒゲのみを備えた化石も見つかっている。研究チームは「2、3千万年前の日本近海では歯を持つ原始的なクジラと歯を持たない進化したクジラが共存し、多様な生態系が形成されていた」と結論付け、今年1月にドイツの学術誌で論文を発表した。 木村さんは「クジラがダイナミックに進化していたことの一端がうかがえ、化石の学術的な価値は大きい」と話す。化石展示の問い合わせは山口県立山口博物館(083・922・0294)へ。
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