宮沢和史が、音楽生活35周年の節目のアルバム「~35~」(YOSHIMOTO MUSIC)を発表した。代表曲を沖縄を拠点とする若手演奏家と新録した「島唄~琉奏~」を始め、岸谷香、高野寛ら多彩な音楽仲間を迎え、自然体で臨んだ7曲を収録。未来への前向きな思いも込めている。(北川洋平)
5月から6月にかけて東京、古里の山梨でコンサートを開く。「ここまで手を引いて連れてきてくれた人たちのために歌い、ピースフルな時間にしたい」=木田諒一朗撮影 1989年にTHE BOOMでデビュー。冒頭、その初期の名曲「星のラブレター」を同世代の岸谷らと楽しげに奏でる。和田唱が作曲した甘酸っぱい旋律が魅力的な「恋をする時」では、彼がボーカルのTRICERATOPSと共演。山梨の同郷人、藤巻亮太による奥行きのあるギターで、古里での日々に思いをはせた「遠影」へと続く。
「僕の音楽活動はコンセプトを決めて創り出すことが多かった。今回はあえて設けず、あんな曲がやりたい、こんなことやりたいね、みたいにして進めました」
そんな開放的な雰囲気で、沖縄の若手バンド
HoRookies(ホルキーズ)
、坂本美雨とも自然体で音楽を楽しむ宮沢の柔らかな歌声が印象的だ。
新録した「島唄」はBOOM時代の92年に発表し、沖縄やアルゼンチンなど国内外で歌い継がれてきた。表向きは嵐に見舞われる沖縄の歌だが、ダブルミーニングで沖縄戦という過酷な歴史を歌う。
「沖縄をもっと知ってほしいという思いや、民謡に
惚(ほ)
れ込んだ思いとか、20歳代半ばのパッション(情熱)で一気に作った曲。今作れと言われても絶対に書くことはできない」
これまでも様々な形で録音してきたが、今回は琉球古典音楽演奏家の親川遥らとともに、近隣各国の使者らももてなした琉球王朝の宮廷音楽の形式で奏でる。沖縄文化の深奥ともいえる気品に満ちた演奏は、周囲の国々としなやかに外交してきた琉球の歴史の独自性や深さも感じさせる。 「沖縄と長く付き合ってきて、琉球古典音楽の演奏家らと『島唄』を歌うことができた。以前ならかなわなかったことで、シンプルな演奏の中に、これまでの沖縄との関わりの重みも表すことができたと思う」 デビュー以来、ロックやスカを出発点に、沖縄民謡やブラジル音楽などに刺激を受けながら独自の音楽を築いた。バンドは2014年に解散し、自身も一時活動休止を経験。ゆかりの深い沖縄とは民謡の継承活動などで絶えず関わり続けている。 こうした歩みから生まれた本作からは、自然体で音楽を楽しむ現在の姿が浮かび上がる。盟友の高野がギター、編曲で参加した最終曲「午前0時の近景」では未来への希望を歌った。 「楽観的になれない世の中かもしれないが、今日より明日の方がいい日になると思いたい。皆で思えばそうなると信じている」と、前向きな願いを込めている。
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