和歌山 スケッチや予定表 並ぶ 「仮面ライダー」や「サイボーグ009」などで知られる漫画家・石ノ森章太郎(1938~98年)の功績を伝える企画展が、和歌山市島崎町のギャラリーカフェ「モコモコミュージアム」で開かれている。009の連載開始60周年を記念して、紀美野町に住む元アシスタント、大瀬克幸さん(76)が企画。「マンガの王様」の足跡を紹介している。(竹内涼)石ノ森との思い出を紹介する大瀬さん(和歌山市で)石ノ森との思い出を紹介する大瀬さん(和歌山市で)

元アシスタント 企画展 大瀬さんは、高校時代に隣の席のクラスメートが石ノ森作品を模写しているのを見て、「これならできる」と描き始め、絵の世界へのめり込んだ。 イラストを同封したファンレターを送ったことをきっかけに高校卒業後にアシスタントとして東京都内の事務所に住み込みで働くことが決まった。 人気絶頂で複数の連載を抱えていた時期で、毎日のように締め切りに追われていた。背景などを担当した大瀬さんも、どの作品かわからないままひたすら描いた。徹夜が当たり前で、編集者がそばで待つ中で作業したこともあった。「それでも『急げ』と言われたことはなかった。作業時間を計算していたから慌てなかったのだろう」と振り返る。 充実していたが、ほとんど眠れない生活で、10か月で退職。石ノ森に告げると、「かわいがったのに」と初めて怒られたという。その後、和歌山に移り住んだ。 会場には、締め切りがびっしり書かれたスケジュール表や、石ノ森が映画「ジャイアンツ」を見て描いた俳優ジェームズ・ディーンのスケッチなどが並ぶ。大瀬さんのカメラで撮影された石ノ森の写真も飾っている。石ノ森や後に漫画家となったアシスタント仲間との思い出を振り返るパネルもある。 大瀬さんは「石ノ森さんは各部屋にアイデアが詰まったタワーマンションのような人。『マルチ』とは彼のためにある言葉だ」と話す。人間的な魅力も感じたといい、「ぜいたくをするな」「自分の力量を理解しろ」などと、ペンを握りながら石ノ森がつぶやいた言葉を今も大切にしている。 大瀬さんは「様々なメディアが台頭し、昭和の漫画が人々の記憶から遠ざかっていく寂しさがある。『ちょっと思い出してみてよ』と訴える内容だ」と来場を呼びかける。 5月12日まで、正午~午後7時。入場無料。月曜、火曜は定休。日曜には大瀬さんのトークショーが行われる。問い合わせは大瀬さん(090・3070・6050)。<石ノ森章太郎>
 宮城県生まれ。高校生だった1954年にデビュー。若手漫画家が集う東京都のアパート「トキワ荘」で暮らし、赤塚不二夫らと腕を磨いた。幅広いジャンルの作品を手がけた。「マンガ日本経済入門」は大ヒットし、ビジネスコミックの先駆者としても知られる。500巻770作品の個人全集は「1人の著者によって出版された最も多いコミックの記録」として、2008年にギネス世界記録に認定された。

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