近鉄グループホールディングス(GHD)は25日、若井敬取締役専務執行役員(64)が社長に昇格する人事を発表した。
都司尚(つじたかし)
社長(66)は代表権のある会長に就く。長年、グループを率いてきた小林哲也会長(80)は代表権のない取締役相談役に退く。6月の株主総会後の取締役会で正式に決める。

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記者会見で意気込みを語る若井敬氏(25日、大阪市天王寺区で)=吉野拓也撮影記者会見で意気込みを語る若井敬氏(25日、大阪市天王寺区で)=吉野拓也撮影 近鉄GHDは昨年4月、子会社の旅行大手KNT―CTホールディングスの傘下にある近畿日本ツーリストで、新型コロナウイルス関連業務での過大請求が発覚し、前月に発表した社長人事を撤回する異例の事態となった。今回、「グループ全体で取り組んできた再発防止策が一定程度進んだ」として、経営体制を刷新することにした。

 若井氏は主に経理畑を歩み、グループの経営戦略の立案などを担当。近ツーを巡る不祥事でも、経営の健全化をサポートしてきた。大阪市内で開いた記者会見で、若井氏は「肌で感じた反省を踏まえ、人や業務、組織の改革に取り組み、信頼回復につなげていきたい」と強調した。 昨春、GHD社長に内定していたKNT―CTの米田昭正社長(64)については、本人の意向もあるとして、引き続き同社で経営改革を先導する。 一方、取締役にとどまる小林氏は、経営の一線からは退く見通しだ。小林氏は「相談には乗るが、業務で命令する権限はないと理解している。徐々に財界活動からも引いていきたい」と話した。◇コロナ禍改革主導 近鉄GHD次期社長 若井 敬氏 64 グループ傘下の不祥事によるトップ人事撤回に見舞われた関西の名門企業で、社内屈指とされる「財務のエキスパート」がバトンを引き継ぐ。 入社後は経理部門を中心に歩み、リーマン・ショック後には、グループの近鉄不動産に出向し、財務を立て直した。コロナ禍では、経理・経営戦略部門のトップとして構造改革を主導。約1680億円を投じ、物流会社「近鉄エクスプレス」の完全子会社化を手がけた。 丁寧に対話を重ねる姿に、小林哲也会長も「金利の上昇や資材高騰などの課題がある中、最適な人材だ」と厚い信頼を寄せる。 今後は、主力の鉄道事業のほか、新たな収益の柱をどう作るかが課題となる。 記者会見では「人口が減少し、沿線の事業だけでは成長に限りがある。失敗しなければ、成長はない。リスクをある程度とりながら、(新事業に)一つひとつ挑戦したい」と力を込めた。 座右の銘は「天は自ら助くるものを助く」。常に先頭に立ち汗を流す覚悟で、「終着駅」のない経営改革にまい進する。(寺田航)
 
(わかい・たかし)
83年京大経卒、近畿日本鉄道(現近鉄グループホールディングス)入社。21年6月から取締役専務執行役員。愛知県出身。

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