10月14日(現地時間)、米国発の老舗アウターブランド「ウールリッチ(Woolrich)」の欧州事業を担うウールリッチ・ヨーロッパ(Woolrich Europe)が、毛皮の使用をやめる「ファーフリー」を正式に表明した。

これは、45の動物保護団体からなる国際連合「ファーフリー・アライアンス(Fur Free Alliance)」との協力による発表で、2027年1月1日以降に発表する新コレクションはすべてファーフリーになる。

Summary

ウールリッチ・ヨーロッパがファーフリーを正式に表明。動物の毛皮を使った新たな製品の生産を2026年12月31日までに終了する
2027年1月1日以降の新コレクションはすべてファーフリーに
2025年11月にブランドの欧州事業を取得した、イタリアのベーシックネットによる決定
カナダグースやモンクレールなど、競合のアウターブランドに続く動き

2027年からすべての新コレクションがファーフリーに

ウールリッチ・ヨーロッパは今回、世界1,700のブランドや小売業者が参加する国際的な「ファーフリー・リテーラー・プログラム(Fur Free Retailer Programme)」に加盟した。動物の毛皮を使った新たな衣料品の生産は2026年12月31日までに終了し、既存の在庫は通常のサイクルの中で順次販売していく。対象は欧州のウールリッチ全店舗。さらに同社は、欧州以外の事業にもファーフリーの方針を広げていく姿勢を示している。

この決定を下したのは、ウールリッチ・ヨーロッパの新たなオーナーであるイタリアのブランドグループ、ベーシックネット(BasicNet)だ。同社は2025年11月、ルクセンブルクの投資ファンド、L-Gamから、欧州、トルコ、ロシアにおける「ウールリッチ」ブランドの権利と、ウールリッチ・ヨーロッパを取得していた。ファーフリー・アライアンスによると、オーナーの交代がこの方針転換を後押ししたという。

20万通を超えるメールと、店舗前での抗議

今回の発表の背景には、動物保護団体による粘り強いキャンペーンがある。ファーフリー・アライアンスは2025年9月のファッションウィーク期間中、ウールリッチにファーフリーへの転換を求めるグローバルキャンペーンを開始。同社のパーカのトリムに使われていたコヨーテやタヌキの毛皮の使用中止を訴えた。同社には20万通を超えるメールが送られ、欧州各地の店舗前では抗議活動も行われた。

1830年創業のウールリッチは、米国最古のアウトドアウェアブランドとされ、南北戦争や南極探検隊にも衣類を供給してきた歴史を持つ。現在は世界に33の店舗とアウトレットを展開し、そのうち23店舗がEU域内にある。

「毛皮猟師のためにファー付きのコートをつくることから始まったブランドが、ファーフリーへと舵を切る。これはまさに時代の変化を示しています。ベーシックネットは、今の消費者が時代遅れで残酷な毛皮産業と関わりたくないと考え、動物と地球にとってより倫理的な素材を求めていることを、はっきりと理解しています」と、ファーフリー・アライアンスのジョー・ヴィンディング(Joh Vinding)会長は語る。

アウター業界に広がる「脱ファー」

アウターブランドの間では、すでにファーフリーへの転換が進んでいる。カナダグース、モンクレール、ナパピリ(Napapijri)、パラジャンパーズ(Parajumpers)なども、毛皮を使わない方針を採用済みだ。

イタリアの動物保護団体LAVでアニマルフリー・ファッション部門を率いるシモーネ・パヴェージ(Simone Pavesi)は、「毛皮が長く製品の一部と考えられてきたアウターの分野で、歴史あるブランドが下した今回の決断には特別な重みがあります。業界全体に向けた明確なシグナルです」とコメントしている。

欧州では、EU全域での毛皮農場の禁止を求める市民イニシアチブ「ファーフリー・ヨーロッパ(Fur Free Europe)」に150万を超える署名が集まり、欧州委員会の対応が注目されている。当初3月に予定されていた回答は、夏以降に先送りされている。

パーカのフードを縁取るファーは、長くウールリッチのアイコンでもあった。196年の歴史を持つブランドがその象徴を手放すという決断は、ラグジュアリーやアウトドアの世界で、「本物」の価値が素材そのものから、つくり手の姿勢へと移りつつあることを物語っている。

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