ルーマニア議会は20日、無所属で親欧州派のルカ・ニクレスク氏(55)を首相とする新内閣を信任し、内閣が発足した。これにより、同国の投資格付けや投資家心理に悪影響を及ぼしていた約6カ月に及ぶ政治停滞が解消された。
ニクレスク氏は中道派のダン大統領から指名を受け、左派勢力と専門家による少数派政権を組閣。議会の信任投票で280票を獲得し、承認に必要な233票を大きく上回った。
北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟するルーマニアでは、親欧州派の大連立政権が5月初旬に崩壊して以降、ダン大統領の指名による組閣は今回が4度目の挑戦だった。
元ジャーナリストで、外交官や外務副大臣を歴任したニクレスク氏だが、今後は難しい政権運営を迫られる見通し。政治アナリストの間では、新政権が短命に終わる可能性も指摘されている。
同氏は、EU域内でも高水準にある財政赤字のさらなる削減に加え、縮小する経済の下支え、企業向け追加売上税の撤廃、さらに財政制約により過去2年間据え置かれてきた年金の引き上げに取り組まなければならない。
ニクレスク氏は採決前の演説で「白紙委任を求めているのではない。長期間の危機を経たルーマニアには、完全な権限を持つ政府が必要であることを理解してほしい」と訴えた。
ルーマニアはEU欧州委員会との間で、財政赤字を2024年の国内総生産(GDP)比9%超、25年見通しの6.2%から、30年までに3%未満へ引き下げることで合意している。格付け会社ムーディーズは19日、ニクレスク政権の発足により、財政健全化を支える27年予算の適時成立が可能になるとの見方を示した。
ただニクレスク政権が12月までに財政赤字削減を盛り込んだ27年予算を議会で成立させられなければ、格付け引き下げのリスクが高まる。大手格付け会社はいずれも、ルーマニアの格付けが現在、投資適格級の最下位水準にあると警告している。
ニクレスク氏はまた、旧連立政権を構成していた中道右派2党と政治協定を締結し、27年3月まで不信任決議を提出しない合意を取り付けた。
米調査会社ユーラシア・グループは、新政権の発足について「短期的な安定を回復し、政策決定の停滞を解消するだろう」と評価した上で「相反する要求の調整と議会の支持維持に成功するかどうかが、27年4月以降も政権の安定を維持できるかを左右する」と指摘した。
ルーマニアの次回総選挙は28年末までに実施される予定で、同国ではこれまで一度も前倒しで総選挙が行われたことはない。
[ロイター]
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