(CNN) イランが攻撃を仕掛けたことで、中東で数日続いていた比較的平穏な状況に終止符が打たれた。米国は今回の攻撃を「奇襲」と呼んでおり、これまでの戦闘パターンとはがらりと様相が変わっている。

イランは米国の新たな攻撃に報復するのではなく、自ら戦闘を再開することを選んだ。軍事力を行使し、自ら主導権を取って戦争の帰趨(きすう)を決しようとする意思を深めている表れだ。

これにより、さらなるエスカレーションの舞台が整った。トランプ米大統領は29日午前、FOXニュースに「叩(たた)きつぶす」「徹底的に叩く。彼らは痛手を受けることになる」と発言した。

イランからすれば、こうした脅しは到底意外ではない。イランは米国の爆撃機が再び飛来する可能性を承知の上で、ミサイルを発射したからだ。

トランプ氏は先週の攻撃停止の理由について、「丁重な要請があり」協議を求められたためだと説明。イラン政府は最近の戦闘停止について公に約束したわけではないが、イラン高官は「我が軍も軍事行動を取らない判断を下した」と明かしていた。

それだけに、攻撃を再開するというイランの判断は、一段と重要な意味を持つ。

米国の自制に歩調を合わせる意向をほのめかした数時間後、イランは米軍を狙った攻撃を実施した。再び連夜の爆撃を受ける危険を冒してでも、圧力を高める価値があると判断した模様だ。

ドイツ国際安全保障研究所の研究者、ハミドレザ・アジジ氏はX(旧ツイッター)で「イランの姿勢に根本的な変化が生まれたように見える。特に、唯一実行可能な選択肢とみなした場合に先制攻撃を仕掛ける意向が顕著になっている」と指摘した。

ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談するトランプ米大統領=28日
/Maâayan Toaf/GPO/Anadolu/Getty Images
ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談するトランプ米大統領=28日
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イランの攻撃は、イスラエルのネタニヤフ首相が米首都ワシントンでトランプ氏と会談した直後に発生した。トランプ氏と軋轢(あつれき)を深めていたネタニヤフ氏は、今回の会談を「これまでで最高の会話の一つ」と形容。イスラエルのカッツ国防相は会談の数時間前、イランのエネルギーインフラを攻撃したい考えだったが、トランプ政権に止められたと明らかにしていた。

アジジ氏は「イランの攻撃は、同日行われたネタニヤフ氏のホワイトハウス訪問に関連したシグナルとみられる」「イランの軍事戦略は変化したのかもしれない。イラン政府は今や、差し迫った脅威の兆候を察知した場合、先制攻撃を仕掛けることも辞さない姿勢だ」とつづった。

ヨルダンへの攻撃の直後、米軍とサウジアラビア軍は合同で、イランを後ろ盾とするイラク国内の民兵組織を攻撃した。米中央軍はイラクでの作戦をヨルダン攻撃への報復ではなく、米軍やサウジのエネルギーインフラが72時間の間に30回以上、ドローン(無人機)攻撃を受けたことへの対抗措置と位置付けている。

夜間のエスカレーションは、戦争が拡大しつつある現状を浮き彫りにした。紛争に直接巻き込まれることを長く警戒してきたサウジだが、イエメンの反政府武装組織フーシ、イランを後ろ盾とするイラクの民兵、そしてイランそのものという3方面からの脅威に直面して関与を深めている。

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