中国では今年上半期を通しての空港の旅客数ランキングで、これまで首位だった上海浦東空港を広州白雲空港が逆転するという「大きな地殻変動」が起きた。日本絡みの要因もある。写真は白雲国際空港で撮影。
中国では今年上半期を通しての空港の旅客数ランキングで、これまで首位だった上海浦東空港を広州白雲空港が逆転するという大きな「地殻変動」が起きた。これまで首位だった上海浦東空港を広州白雲空港が逆転し、中国で利用者が最も多い空港の地位に返り咲いたのだ。中国の経済分析メディアの国民経略が伝えた。
広州白雲空港は単一の空港でありながら、その旅客数は四川省成都市の二大空港である天府空港と双流空港の合計に迫るほどの勢いを見せている。広州白雲空港は年内にも単独で、広州市を中国で3番目に航空便利用者が多い都市に押し上げる見通しだ。
空港別の上位20の勢力図も変化した。上海虹橋空港が重慶江北空港を抜き、海口や南京、ウルムチなどの空港も順位を上げた。一方で、中国で41カ所ある年間利用者1000万人以上の空港のうち、長沙、武漢、太原、西安など18空港で旅客数が減少した。成都天府空港や昆明長水空港のような上位10位以内の空港ですら前年割れした。中東情勢の緊迫化に伴う燃料コストの高騰で一部路線が削減されたことが一因だが、全国の航空旅客数全体は依然として1%のプラス成長を維持している。つまりこれは全体としての航空需要減ではなく、利用者がトップレベルの空港へさらに集中する現象と、高速鉄道網の発展による内陸部での旅客争奪戦が白熱化していることを示すものだ。
広州白雲空港が、香港や深センなど強豪ひしめく大湾区で躍進した背景には多くの要因がある。まず昨年末に、世界でも最大規模の第3ターミナルが開業し収容力が拡大した。広州市の2026年第1四半期(1-3月期)のGDP成長率が一線都市と呼ばれる、全国に強い影響力を及ぼす大都市の中で首位に立つなど、経済のV字回復が需要をけん引した。
さらに決定的なのは地政学的変化だった。上海浦東空港は国際線の割合が半数近くを占め、日韓や欧米への依存度が高い。昨年以来、日中間の路線が半分以下に縮小したことが上海浦東空港を直撃した。対照的に広州は、「中国の南に向けた玄関口」であり、東南アジアや中東、アフリカなど「一帯一路」やグローバルサウスとの結びつきが強い。これら新興地域との経済貿易が起爆剤となり、外国人出入国者数は前年同期比34%増と全国平均を大きく上回った。
一方、中部の六大省都である武漢、鄭州、合肥、長沙、太原、南昌の空港は軒並み苦戦している。その原因は高速鉄道との競争に大苦戦していることだ。武漢や鄭州は「米」字型に路線が交差する全国屈指の高速鉄道ターミナルだ。一般に移動が800キロメートル以下ならば、高速鉄道が圧倒的な価格競争力をもつ。これらの中部の省都から見て中国主要都市のほぼすべてが、1200キロメートル圏内だ。そのため、航空輸送が太刀打ちできないのは必然だ。
加えて政策面の影響もある。中国政府が現在構築中の国際航空ターミナル体系では、長距離国際路線は北京、上海、広州などの上位グループに集中配分され、中国中部の空港はすべて「その他」の扱いだ。結果として、中国中部地方は航空需要の強みを失った代わりに高速鉄道網による繁栄を得た。逆に地理的に高速鉄道の恩恵が薄い中国の多くの主要都市から遠隔の地である昆明やウルムチ、ハルビンは確固たる航空需要を得ている。両方の恩恵を得られるのは北京、上海、広州、成都のような一部のメガシティーだけだ。(翻訳・編集/如月隼人)
