
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領(2026年4月15日撮影)。(c)Tiziana FABI/AFP
【AFP=時事】ウクライナが第2次世界大戦時にポーランド人を虐殺したとされるウクライナの民族主義グループ「ウクライナ蜂起軍」にちなみウクライナ軍特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名したことにポーランドが異議を唱えている。この件をめぐり5日、ウクライナのキリロ・ブダノフ大統領府長官が対立解消を目指してポーランドを訪問し、同国のマルチン・ボサツキ副外相と会談した。
ポーランドは、侵攻するロシア軍と4年以上にわたって戦うウクライナにとって重要な支援国となっているが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が最近、UPAにちなみウクライナ軍特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名したことに猛反発している。
ポーランドは、国家主義(民族主義)組織のUPAが第2次大戦時の1943〜1945年、現在のウクライナ北西部でポーランドの民間人約10万人を殺害したと批判している。
ポーランドのナショナリスト、カロル・ナブロツキ大統領は、ゼレンスキー氏から3年前に授与したポーランド最高勲章「白鷲勲章」を剥奪すべきだと主張している。
ドナルド・トゥスク首相は、ゼレンスキー氏の行動は「ポーランド人の歴史的配慮を傷つけるもの」であり、「両国関係の観点からも懸念される」と述べた。
6日にウクライナのブダノフ大統領府長官との会談を控えるブワディスワフ・コシニャクカミシュ国防相は5日にSNSで公開した動画で、ウクライナに対して「再考」を要請。
「ポーランド国民にとって、UPAは無防備な民間人に対する犯罪の象徴に他ならない」と訴えた。
ポーランド外務省の報道官によると、ブダノフ大統領府長官は5日、ポーランドのボサツキ副外相と会談した。
同報道官は「ウクライナ側がこの会談を持ちかけてきた」とし、ウクライナが軍の特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名したことが「主要な議題だった」と説明した。
ポーランドメディアによると、ブダノフ大統領府長官は6日、ナブロツキ大統領の代理人らとも会談する予定だという。
ウクライナ側はブダノフ大統領府長官のポーランド訪問について公式にコメントしていないが、ウクライナ政府高官は同国が軍の特殊部隊を「UPAの英雄たち」と命名したことを正当化。
ウクライナ政府高官は匿名を条件に、「これはわが国の軍隊でありわが国の名誉ある名称だ。ポーランドが自国の軍部隊を何と命名しようが、自国内で誰をたたえようがウクライナが文句をつけることはない」と主張。
「ウクライナの立場は、歴史は歴史家に委ねるべきであり、敬意は軍に属するもので、すべての犠牲者の記憶は保存されなければならないというものだ」と付け加え、この紛争の「政治問題化」に警鐘を鳴らした。
ポーランドはロシアとの戦いにおいてウクライナを最も熱心に支持してきた国の一つで、西側諸国の支援物資の多くはポーランド領を通過している。
だが両国は、ソ連の支配に立ち向かう一方でナチス・ドイツに協力した「ウクライナ民族主義者組織」の軍事部門であるUPAをめぐり、数十年にわたり対立してきた。
ウクライナにおけるUPAは、極右の集会でその旗を振られるような存在だったが、今では愛国組織とみなされている。
ウクライナ政府は現在の北西部ボルィーニ州でUPAがポーランド人を虐殺したことは認めているが、この虐殺を「ジェノサイド(集団殺害)」と呼ぶことは拒否している。
一方、ポーランド側は、UPAがボルィーニの虐殺に関与したことを広く世に知らしめるよう求めている。
【翻訳編集】AFPBB News
