外国人の不法就労を通報した人に1万円の報奨金を出す――。そんな制度がこの5月、茨城県で始まった。不法就労者の数が4年連続で日本一だったという同県独自の施策だ。しかし、「密告を奨励するのか」「不法行為の取り締まりに市民が協力するのは当然」といった賛否は入り乱れ、今も途切れない。人手不足のため外国人に頼らざるを得ない現場の声、国際NGOや法曹界。不法就労問題を解決に導く最適解はどこにあるのか。関係者を取材した。(文・写真:益田美樹/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「根気よく働く人は外国人しかいない」
絵葉書のような筑波山をはっきり見渡せる。茨城県つくば市の「ふしちゃんファーム」を訪ねると、ベンチで数人の作業員がひと休みしていた。
「こんにちは」
目が合うと、にっこりと挨拶してくれる。全員が外国人だが、日本語は流ちょうそのもの。日よけの大きな帽子を脱がなければ、外国人と気付かないだろう。
このファームでは、小松菜など複数の品種を有機農法で生産している。難しいといわれる有機イチゴの栽培にも注力。茨城県の支援を受け、米国ロサンゼルスの高級スーパーで販売した実績もある。現地では1粒およそ1000円の高値が付いたという。
ファームの歴史は10年ほどしかない。短期間で成長したカギの1つは外国人労働者だと、代表の伏田直弘さんは明かす。現在は従業員50人のうち、およそ半分の23人がインドネシア人。多くが20代だ。
日本で働く外国人は在留資格別に3つに分かれている。このうち、「技能実習生」を雇う事業所は通常、監理団体に「監理費」を支払う。相場は1人につき月額2万円程度から。この農場では、年間数百万円が余計にかかる計算だ。それでも「日本人よりもメリットは大きい」と伏田さんは断言する。農業には、機械化できない単純作業が多いという事情があるからだ。
「僕がほしいのは、ひたすら野菜を収穫し続けられる人材です。そんな作業を根気よく、休まず丁寧に続けてくれる人は、日本人の中にはいません」
ここで働くインドネシア人は、自分の将来や家族のためにお金を稼ぎたいという、明確な意思を持って日本に来る。
「彼らの国での月給は、1万5000円から2万円。世界でも下の方。そこから抜け出したいから『ちょっと怖いけど外国に行って稼ごう』となる。日本人とは覚悟が違うんです」
伏田さんは、外国人労働者を「勤勉」と評価し、「仲間」と呼んで応援する。働きながら通信制大学に通い、卒業する人もいる。
「自分の人生を変えるため、何かを始めるためにお金が要る。だから、稼いだ後は自分の人生を生きてほしい。ここで単純労働だけに従事させていいのか、っていうのは確かに思う。ただ、『人生の一期間だけ一生懸命やると人生が変わるぞ』と伝えています」
そんなインドネシア人たちも、茨城県の「通報報奨金制度」を話題にしているという。
「農家の経営者間ではあまり話題に出てない。でも、外国人労働者に関する制度なので、インドネシアから来た彼らは、自分の知り合いとか、いろいろ気になっているのかもしれません」
