2026年5月28日 午前7時30分

 【論説】福井県内で映画やテレビドラマのロケが相次いでいる。嶺南を舞台にした作品ではドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」(小浜市)が放映中、映画「ライフセーバー!」(高浜町)は5月29日に福井先行上映が始まる。「真犯人」(福井市など)はクランクアップしたところだ。他にも撮影を控える作品はある。今後も誘致を進め、福井の魅力を発信したい。

 誘致は福井をPRし観光誘客につなげる目的。北陸新幹線の県内延伸を2年後に控えた2022年に福井県フィルムコミッション(FC、事務局・県誘客推進課)が発足した。総合的な窓口として宿泊や食事、撮影の許認可に関する情報を提供するほか、県内市町にあるFCなどとも連携し制作者をサポートしている。

 もともと福井は撮影所の多い京都に近いことや「都市的な風景や田舎の景色が一挙に撮影できる」(担当者)魅力もあって、ドラマのロケが行われるなど、撮影地としてのポテンシャルは高かった。新幹線開業後は関東圏からも制作者が訪れやすくなった。

 資金面でもメリットがあり、県はロケの交通費や宿泊費を対象とした補助金を準備。一定の条件を満たすと最大1千万円を支給する手厚さで、担当者は「企画はあるが予算がない制作者へのアピールになる」と話す。

 県FCによると、昨年度は約80件の問い合わせがあり、うち約40件が撮影につながった。ともに年々増えているという。映画の撮影ともなれば、スタッフ、キャストは50~100人規模で宿泊費や食費、観光など県内消費は大きい。担当者は「役者さんも土地の魅力を発信してくれる。波及効果は大きいし、作品が完成すればさらに誘客につながる」と話す。

 ロケ現場で欠かせないのは住民らの協力だ。オール福井ロケの映画「おしょりん」(23年)では、50団体以上の県民ボランティアが関わった。「真犯人」では千人に及ぶエキストラが参加し、有志らが炊き出しに協力した。「サバ缶」の若狭おばまFCは、エキストラの登録制度を導入したところ、町内外の500人が申し込んだ。越前市FCも登録制を導入した。エキストラを確実に確保できることは、ロケ地として強みになる。

 他県では市民ら民間の支援団体が自治体FCと協力している例がある。県内でもロケを支える住民組織やネットワークなどがつくれないだろうか。過去には地域住民が撮影場所探しに協力し映画監督が理想とする場所を見つけたケースもある。地元を知る民間のサポート体制があれば制作者のニーズに素早く対応できるだろう。「撮りたくなる福井」に磨きをかけたい。

Share.