英国ロイヤル・バレエの名作『ジゼル』が、『英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2025/26』のラインナップとして、5月29日(金)から6月4日(木)まで全国公開される。1841年の初演以来、世界中で愛され続けるロマンティック・バレエの金字塔を、映画館ならではの大スクリーンと迫力ある音響で堪能できる特別上映だ。

『ジゼル』は、純粋な愛と裏切り、そして死を超えた赦しを描く名作。心臓の弱い村娘ジゼルは、村人に身をやつした貴族アルブレヒトと恋に落ちる。しかし、彼にはすでに婚約者がいた。真実を知ったジゼルは絶望の末に命を絶ち、死後は“ウィリ”と呼ばれる精霊となる。それでもなお彼を愛し続け、死へと追い込まれそうになるアルブレヒトを守り抜く。

本作を手掛けるのは、英国バレエ界を代表する振付家ピーター・ライト。今回上映される演出版では、ジゼルの死を“アルブレヒトの剣による自死”として描いている点が大きな特徴であり、英国らしい重厚な演劇性とリアルな感情表現が際立つ。特に、身振りによって物語を紡ぐマイムが重要な役割を果たし、登場人物たちの感情を鮮烈に浮かび上がらせる。

中でも見どころとなるのが、「バレリーナのハムレット」とも称される1幕終盤の狂乱の場面だ。愛と絶望の狭間で揺れるジゼルの心情を、繊細な演技と高度なテクニックで表現する必要があり、多くの名 ダンサーが挑み続けてきた難役でもある。

今回タイトルロールを務めるのは、英国ロイヤル・バレエのプリンシパル、高田茜。2016年にこの役でプリンシパルへ昇進した高田にとって、『ジゼル』は特別な意味を持つ代表作だ。儚さと芯の強さを併せ持つ表現力で、狂乱の場面では観客の心を激しく揺さぶり、2幕では死を超越した崇高さを漂わせる。まさに現代を代表するジゼルの一人といえる存在だろう。アルブレヒト役には、端正な佇まいと高い演劇性を兼ね備えたマシュー・ボール。さらに、ヒラリオン役のヴァレンティノ・ズケッティ、ウィリの女王ミルタ役のアネット・ブヴォリら実力派キャストが集結する。

幻想的な白い群舞、月光に照らされた墓場、そして生と死を超えてなお続く愛―。ロマンティック・バレエの真髄ともいえる『ジゼル』を、映画館で体感できる貴重な機会となりそうだ。                                                        

英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ 2025/26『ジゼル』
5/29(金)~6/4(木) TOHOシネマズ 日本橋 ほか1週間限定公開

取材・文 和田弘江

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