土田 陽介

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員

非中国製品の調達を義務付けたいEU

欧州連合(EU)は過剰規制の“権化”とも言える存在だ。そのEUが域内企業に新たな規制を設けようとしていると、英フィナンシャルタイムズ紙が5月13日付の記事で報じている。つまりEUは、域内企業に対して、重要な製品を調達する場合、3社以上のサプライヤーから納入を受けるように義務付けることを検討しているという。


欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長

写真=AFP/時事通信フォト

2026年5月20日、フランス北東部ストラスブールの欧州議会本会議で演説する欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長


一社当たりからの調達比率を30~40%程度に抑制することで、単一のサプライヤーに対する依存リスクを減らすことが目的とされる。その念頭にはもちろん、中国の存在がある。この計画を主導しているマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安保担当)は、中国による希土類元素(レアアース)などの輸出管理を警戒している。


世界のレアアースの供給を一手に担う中国は、その独占力をテコに、各国に対して揺さぶりをかける。例えば2025年4月、中国はサマリウムやイットリウムなど7種のレアアースの輸出管理を強化した。米国が一方的に課してきた“トランプ関税”への対抗策だったが、EUでもこの措置で域内企業の一部の生産が停止する事態となった。


こうした事態を繰り返さないためにも、シェフチョビッチ欧州委員らは域内企業に対して、レアアースに代表される重要な製品に関しては、3社以上のサプライヤーから納入を受けるように義務付けようと画策しているようだ。とはいえ、サプライヤーの分散を域内企業に義務付けることは、企業活動そのものを大いに制約するものである。


希土類酸化物。上部中央から時計回りに、プラセオジム、セリウム、ランタン、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム
希土類酸化物。上部中央から時計回りに、プラセオジム、セリウム、ランタン、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム(写真=Peggy Greb, USDA/PD-USGov-USDA-ARS/Wikimedia Commons)


中国製品の費用対効果など、各産業・各企業で異なる。それに見合うと考えるなら中国製品を使い続けるし、見合わないとするなら非中国製品を使えばいいだけの話だ。そうしたスイッチングを円滑化させるための規制緩和に取り組むのではなく、予め調達の分散を義務付けるという、真逆の規制強化を志向するのが、いかにもEUである。


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