インド株式市場は他の主要新興国株式市場に対して出遅れている
インド株式市場が出遅れています。過去1年程度の株価パフォーマンスを主要新興国株式市場の間で比較すると、昨年終盤頃から大きな差がついており、インド株式市場の出遅れ感が目立っています。図表1は主要新興国株式市場の過去1年程度の推移ですが、ブラジルやメキシコの株式市場が大きく上昇している一方、インド株式市場の劣位が目立っています。
パフォーマンスが劣位になっている背景には複数の要因があり、AI(人工知能)によるソフトウェア産業の代替懸念がインドの主力産業であるソフトウェア企業の株価を押し下げていること、米国におけるプライベート・クレジット関連の信用不安がインドの一部の金融関連銘柄に波及していること、そして、昨今の中東情勢緊迫化により、インドが中東産原油への依存度が高いことが嫌気されていることなどが、インド株式市場の重石となっているようです。
[図表1] 主要新興国株式市場の推移

期間:2025年3月31日~2026年5月8日、日次
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
Nifty50指数の年初来の下落をけん引しているのはテクノロジーや金融セクター
図表2はNifty50指数の構成銘柄のうち年初来の下落率が大きい10銘柄です。10銘柄中で8銘柄がテクノロジーと金融セクターで占められています。
Nifty50指数構成銘柄のテクノロジー・セクターは全てソフトウェア・サービス関連企業で占められており、前述したようにAIによる代替懸念が株価への重石となっているようで、Nifty50指数の大きな押し下げ要因となったようです。
また、金融セクターについては、米国におけるプライベート・クレジット関連の信用不安がインド市場にも波及し、主力の銀行株やノンバンク株などに下押し圧力がかかっているようです。金融セクターは経済全般の影響も受けることから、中東産原油輸入に頼っている経済へのダメージなどへの警戒もあったものと思われます。さらに、中東産原油への依存度が高いことなどからガソリン不足に見舞われていることなどが嫌気されて、自動車関連銘柄(マルチ・スズキ・インディア)も大きく売られています。
[図表2] Nifty50指数構成銘柄の年初来下落率が大きい10銘柄
企業名業種下落率(%)インフォシステクノロジー-27.0HCLテクノロジーテクノロジー-24.2タタ・コンサルタンシー・サービシズテクノロジー-24.0ウィプロテクノロジー-22.9ITC生活必需品-22.1HDFC銀行金融-21.2マルチ・スズキ・インディア一般消費財-17.8HDFCライフ・インシュアランス金融-17.1ジオ・ファイナンシャル・サービシズ金融-15.5コタック・マヒンドラ銀行金融-13.5
下落率はトータルリターン
期間:2025年12月31日~2026年5月8日
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
インド株式市場は利益成長に沿って上昇
複数の悪材料に見舞われたことで、足元のインド株式市場は他の主要新興国株式市場に対して出遅れてはいますが、中長期的には期待が持てると考えています。
図表3はNifty50指数と同12ヵ月先予想EPS(1株当たり利益)の推移です。ご覧のように、インド株式市場においては、企業利益(12ヵ月先予想EPS)の成長に沿う格好で株価が上昇してきたことが分かります。そして、現時点の予想においては、今後1年先もEPSは順調に拡大する想定となっており、そうした予想に対して株価はかなり割安に放置されているように見えます。
これまで述べてきたインド株式市場の複数の重石ですが、必ずしも企業業績を大きく押し下げている様子は現時点では観測されておらず、重石への警戒から投資家センチメントが悪化した影響が株価を押し下げているものと思われます。インド株式市場のような長期的に成長が期待される市場は、割安になる機会が限られます。そのためセンチメントが悪化した今のような状況下で、再検討してみるのも一案かもしれません。
[図表3] Nifty50指数と予想EPSの推移

期間:2016年1月1日~2026年5月8日、日次
・EPSはBloombergの向こう12ヵ月予想ベース(5月8日時点のBloomberg予想)
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。
<関連銘柄>
NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信(証券コード:1678)
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(2026年5月20日作成)
