静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は、5月4日に沼津市の富士通沼津事業所で開幕した「ASHITAKA FOREST FESTIVAL2026」を題材に。同フェスは5日も開催。ゲストはMINAさん。
(写真と文=論説委員・橋爪充)

高校部活動の軽音楽部のオフィシャル大会を何度か取材したことがある。静岡県高校文化連盟の軽音楽専門部会主催。かつては学校教育と切り離されがちだった「ロック」や「バンド」が、すっかり部活動として認知され、部員数も増加していると聞き、隔世の感だった。オリジナル曲を披露するバンドが主流で、多くのバンドに女子生徒が関わっているのも、「今時」を感じた。

今回は、高校生も運営に関わった初めての野外音楽フェスティバルである。学園祭やコンテストとは異なるシチュエーション。県内外の高校生を中心としたバンドが約70も集まった。出演バンドのリストを見ると、加藤学園、沼津中央、御殿場南、富士見といった県東部勢が中心。浜松聖星、浜松学芸といった県西部の学校の名前もある。県中部では、実力校の清水国際が5バンドを送り出した。福井、東京、茨城などの県外の学校からのエントリーもある。

富士通沼津事業所の駐車場に、大きなステージを一つ、グラウンドレベルのステージを一つ、キッチンカーのコーナーを一つ設けた。キッチンカーコーナーには、屋根付きの飲食エリアやトークや弾き語りを聞かせるマイクエリアもあった。初回なのにかなり大規模なしつらえだ。学校の枠を超えた、巨大な学園祭の趣がある。

午前11時ごろから午後2時半頃まで、会場を巡った。高校生たちのひたむきな演奏に心打たれた。演奏技術やバンドのアンサンブルの優劣はいろいろあるが、仲間と音楽を奏でる喜びは普遍的なものだ。まずは自分たちが楽しむ。大げさな言い方をすれば「命の胎動」のようなものを感じ取った。

度肝を抜かれたバンドもあった。沼津中央の女性4人組の「-459.67°F」。「ぜったいれいど」と読む。いわゆる「デス声」を駆使したハードロックナンバー4曲を披露したが、緩急自在のアンサンブルとメンバー4人の個性の発揮が両立していて、バンドの色を強烈に印象付けた。System Of The DownやNapalm Death、Melvins、Smashing Pumpkinsなど、米国ハードコア、オルタナティブロックの香りが漂う、幅広い層に届くサウンド。技術の確かさに加え、ステージ上のたたずまいが「本格派」を感じさせた。
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■ASHITAKA FOREST FESTIVAL2026
会場:富士通沼津事業所敷地内(沼津市宮本140)
会期:5月4日(月・祝)、5日(火・祝)
観覧無料。会場内に駐車場あり。JR沼津駅から無料シャトルバスあり。5月5日は午前9時スタート。ベーシストMINAさんも出演