「特別展 岐阜県現代陶芸美術館コレクション ティーカップ・メリーゴーラウンド ヨーロッパ陶磁にみるモダンデザイン100年」が4月18日から三井記念美術館(東京都中央区)で行われています。開幕前日に行われた内覧会を取材しました。
本展では、岐阜県現代陶芸美術館の西洋陶磁器コレクションから、19世紀後半以降の約100年間につくられたティー・ウェアやコーヒー・ウェアを中心に、室内装飾品などを加えた名品を国別に紹介しています。本記事では、本展の展示とは違うデザインの歴史という別の視点から展示品を見ていきます。
マイセンの展示風景
欧州の磁器は、1710年にドイツのマイセンで初めてつくられました。当時、純白の硬質磁器は王侯貴族のためのものでしたが、産業革命を経て富を蓄えた市民階層にも広がって行きました。本展冒頭で展示されているドイツ・マイセンの作品は、当時の石膏型を使って王侯貴族が愛でたデザインを、19世紀後半に再生産したものが並んでいます。この時代は、近代デザインが誕生する前夜です。
ガレ作品の展示風景
ブラックモン作品の展示風景
19世紀後半は万国博覧会などがきっかけとなり、ジャポニスムなど東洋が注目されるようになりました。ランプなどのガラス工芸で知られるエミール・ガレ(フランス)は《果実に蜻蛉文皿》など日本的な要素が明らかな作品を残しています。また北斎漫画を切り貼りしたようなフェリックス・ブラックモンの《花鳥に虫文三つ脚付き鉢》のような作品も目を引きます。
ロイヤル・ウースターの展示風景
英国の窯のなかで一、二を争う古いブランドであるロイヤル・ウースターの《花文ティーポット》は、持ち手が上に付いています。テーブルの上で紅茶を楽しむ欧州ではポットの持ち手は横に付いています。この作品は、畳の上で茶をたしなむため、持ち手が上に付いている日本の茶器の影響を感じさせます。
セーヴルの展示風景(右が「スカーフダンス」)
19世紀末にはアール・ヌーヴォーが広がり、1900年のパリ万博では、この新しい芸術様式が会場を席巻しました。そのなかでも特に注目を集めたのが15体からなるビスキュイの《スカーフダンス》でした。その同じ型からつくられたうちのひとつ《踊り子像》は、スカーフダンスで一世を風靡していたロイ・フラーがモデル。軽やかに舞う姿が描き出す美しい曲線が、新たな様式に取り入れられました。
旧ソ連作品の展示風景
第一次世界大戦後の1920年代になると、ロシア・アヴァンギャルドやフランスのアール・デコなど近代デザインが花開きました。ロシア・アヴァンギャルドは斬新な配色や構図が特徴の前衛的な芸術運動です。
ウエッジウッド(英国)の《線文コーヒーセット》はアール・デコ期の作品です
幾何学模様をモチーフに、円弧や直線を組み合わせたアール・デコはフランスから、英国、ドイツ、イタリアなども広がりました。 20世紀中頃になると国を挙げた支援などによりフィンランドなど北欧のデザインが注目されるようになりました。
国別という横軸とともに、デザインの歴史という縦軸を意識することで、西洋の陶磁器についての理解がより深まります。(美術展ナビ編集班・若水浩)
特別展 岐阜県現代陶芸美術館コレクション ティーカップ・メリーゴーラウンド
ヨーロッパ陶磁にみるモダンデザイン100年
会場:三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2-1-1三井本館7階)
会期:2026年4月18日(土)~6月21日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(但し4月27日、5月4日は開館)
観覧料:一般1,500円/大学・高校生1,000円/中学生以下無料
※70歳以上の方は1,200円(要証明)
※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料(ミライロIDも可)
※リピーター割引:会期中、半券提示で2回目以降は割引料金を適用
(一般1,200円/大学・高校生800円)
アクセス:
東京メトロ銀座線「三越前」駅A7出口徒歩1分
東京メトロ半蔵門線「三越前」駅徒歩3分・A7出口徒歩1分
東京メトロ銀座線・東西線「日本橋」駅B9出口徒歩4分
メトロリンク日本橋(無料巡回バス)乗降所「三井記念美術館」徒歩1分
詳細は、三井記念美術館公式サイト
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