「お前みたいな若造が乗るクルマちゃう、50になってから乗れ」

4月11~12日、奈良にある世界遺産の法相宗大本山薬師寺において開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン』。今回のテーマのひとつに『カロッツェリア・トゥーリング100周年』があり、10台がエントリーした。その中の1台に珍しい『ジェンセン・インターセプターIII』が参加していたので、オーナーに話を伺ってみた。

「僕の伯父が乗っていたことがあって、若い頃に譲ってもらおうとゴマすりに行ったら、『お前みたいな若造が乗るクルマちゃう、50になってから乗れ』って言われて。それで50になって、探し出したんです」と話すのは、このクルマのオーナーで大阪にお住いの湯川晃宏さんだ。

ジェンセン・インターセプターIIIと、オーナーの湯川晃宏さん。ジェンセン・インターセプターIIIと、オーナーの湯川晃宏さん。    内田俊一

イギリスのジェンセンが1966年にロンドン・モーターショーで発表したインターセプター。カロッツェリア・トゥーリングのデザインで、カロッツェリア・ヴィニャーレがボディを手がけたインターセプターIIIは、クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載し、3速ATが組み合わされる。

トゥーリングがデザインし、ヴィニャーレにて製造

1934年に設立されたジェンセン。当初はいわゆるコーチビルダーだったが、すぐに自社名を冠したクルマの製造も始める。戦後はビッグヒーレーなどのボディ製造を請け負う一方、いくつものスポーティなクルマを作り上げた。そのひとつがインターセプターIIIだ。

デザインコンペにはカロッツェリア・ギア、トゥーリング、ヴィニャーレが参加し、トゥーリング案が採用。しかしトゥーリングで量産のボディ製造ができないことが判明したことから、ジェンセンがそのデザイン案を買い取り、ヴィニャーレにて製造することになったのだ。

1934年設立のジェンセン。当初はコーチビルダーだったが、自社名を冠したクルマの製造も始めた。1934年設立のジェンセン。当初はコーチビルダーだったが、自社名を冠したクルマの製造も始めた。    内田千鶴子

なお、インターセプターIIIは1971年8月~1976年12月に生産され、その台数は4255台と伝えられている。

ディーラーものでワンオーナー

さて、50歳を過ぎた湯川さんは真剣にインターセプターIIIを探し始めたが、国内で見つけることができなかった。そこで、イギリスに良い売り物があると聞いて見に行こうと思った矢先、日本に1台売り物が出た。しかもディーラーものでワンオーナーだ。

「ただし、倉庫にずっと眠っていて、起こすのにすごくかかるけれどどうですかと言われて。でもその日に即決しました」

クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載する。クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載する。    内田俊一

しかも、「僕の住まいからすぐのところに眠ってたんです。3年くらい探しまくってたんですよ。本当に縁ですね」としみじみ語る湯川さん。しかし大変なのはそこからだった。

「ガソリン系はみなアウトで、配管含めてすべてやり直し。キャブもアウト。その辺は苦労しましたけど、しっかり直しました」

基本的には内外装ともフルオリジナル