プーチン氏への贈り物としてはこれ以上のものはないかもしれない(写真は2025年12月3日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

プロローグ/「我奇襲に成功せり」

 ヘーゲル曰く、「歴史は繰り返す」。

 マルクス曰く、「ヘーゲルはどこかで言った、『歴史は繰り返す』と。しかし彼は、『最初は悲劇として、2度目は茶番劇として』と付け加えることを忘れた』」(『ブリュメールの18日』)。

 高市早苗首相曰く、「世界に平和と繁栄をもたらすのはドナルドだけ」。

 マルクスが生きていれば、次のように言ったことでしょう。

 マルクス曰く、「高市首相は米国で言った、『世界に平和と繁栄をもたらすのはドナルドだけ』と。しかし彼女は、『何もしなければ』と付け加えることを忘れた」。

 今、日本のロシア専門家の間で密かに流行っているアネクドート(ロシア小噺)を一つご紹介いたします。

太平洋戦争の戦端:「我奇襲に成功せり」 → 「トラ トラ トラ」   イラン戦争の戦端:「我奇襲に成功せり」 → 「タコ タコ タコ」

 いやはや、ある意味できすぎたアネクドートですね。

 イラン戦争が激化しており、米海兵隊によるイラン本土、あるいはイランの石油積出港があるカーグ島上陸作戦やホルムズ海峡に位置する要衝のゲシュム島上陸作戦なども視野に入ってきた模様です。

 一方、上陸作戦は陽動作戦であり、実際には空挺師団(落下傘部隊)による奇襲作戦が本筋との情報も流れています。

 しかし、これらの地上戦展開作戦が本当に発動されれば、イラン戦争は米国にとり第2のベトナム戦争になる危険性をはらんでいます。

 米D.トランプ大統領(79歳)は3月22日、イランに対し「ホルムズ海峡封鎖を解除せよ」との48時間期限付き最後通牒をつきつけた由(編集部注:その後5日間の延期を明らかにしている)。

 しかし、これは本末転倒。鏡の如きホルムズ海峡を封鎖させた張本人こそトランプ大統領です。

 トランプ大統領はベトナム戦争(1955~75年)やソ連のアフガニスタン紛争(アフガン戦争、1978~89年)の轍を踏むことになるのでしょうか。

 国際海峡は船舶の自由航行が認められており、原則軍艦も通航できます(紛争当事国は不可)。

 ホルムズ海峡通航は何の問題もなかったのに、問題を引き起こしたのはトランプ大統領その人、イラン戦争最大の受益者はロシア(露)のV.プーチン大統領(73歳)になりました。

 昨年11月以降、ロシア産原油の油価は鉱区井戸元生産原価と輸出原価を割り込みました。油価下落に苦しむ露プーチン大統領は笑いが止まらないことでしょう。

 継戦能力は兵站補給次第です。戦争継続を望むプーチン大統領は、陰に陽にイランを支援しています。

 NATO(北大西洋条約機構)加盟国に相談なく勝手に対イラン開戦。短期電撃戦のはずが長期戦の様相を呈すると、NATO加盟国に支援要請。断られると「NATOには失望した」と発言。

 朝令暮改どころか、朝令昼改、昼令暮改。トランプ大統領が撤退表明しても、イラン革命防衛隊が「はい、そうですか。どうぞお引き取りください」と言うはずはありません。

 イラン戦争を巡っては様々な情報が錯綜しています。イランの最高指導者モジュタバー・ハーメネイー師の安否を巡っても、既に死亡しているとの未確認情報まで流れています。

 既に死亡している(あるいは重症)とすれば、死せる孔明、生ける仲達を走らすの現代版になりましょうか。