史上初の複数都市開催となったミラノ・コルティナオリンピック。17日間にわたる熱戦が幕を閉じた。総移動距離1500キロを超える取材で見えたイタリアの“素顔”とメダリスト家族の絆。そして、変わりゆく冬の現実とは――。(取材報告:読売テレビ橋本雅之)
■総移動距離1500キロ超 大雪で“ホワイトアウト”寸前も…
史上初の複数都市での開催となった今大会。私はフィギュアスケートやスピードスケートなどが行われたミラノ、スキージャンプの会場となったプレダッツォ、そしてスノーボード競技などが行われたリビーニョと、3つの会場を巡りながら取材を続けた。
それぞれの会場は、車で4~6時間ほど離れていて、移動中、大雪に見舞われ、視界が奪われる“ホワイトアウト”寸前になったこともあった。約3週間におよぶ取材で、現地での総移動距離は、1500キロを超えた。
正直、日本を出発するまでは、オリンピックの複数都市開催には懐疑的だった。移動の不便さ、盛り上がりの分散、大会としての一体感が損なわれるのではないか―。そんな思いがあった。
しかし、約3週間の取材を終えた今、その見方は大きく変わった。複数都市開催だからこそ見えたイタリアの“素顔”がある。大都市ミラノの熱狂、雪山での躍動、山間の田舎町に響く大歓声。各会場には、それぞれの土地ならではの魅力があった。
■豊かな食文化が織りなすハーモニー①燻製の香ばしさがたまらない生ハム
地域ごとに異なるイタリアの豊かな食文化に触れられたことも、複数都市での開催ならではだった。
例えば、プレダッツォで出会った生ハム「スペック」。日本でイタリアの生ハムといえばプロシュートを思い浮かべる人が多いが、スペックは燻製してから熟成させる。標高が高く、湿度が低い北イタリアの山岳地帯だからこそ生まれる味だ。口に入れると、ハムのうま味と燻製の香ばしさが広がる。
■豊かな食文化が織りなすハーモニー②「めちゃくちゃ臭い奴」濃厚な甘さとコクのチーズ
さらに、イタリア語で「めちゃくちゃ臭い奴」を意味するチーズ「プッツォーネ」。熟成庫に入った瞬間、息ができないほどの強烈なアンモニア臭に襲われた。刺激が強すぎて目も痛くなるほどだ。だが、その味は驚くほどマイルドで、口の中で溶けると、濃厚なミルクの甘さと脂肪のコクが広がる。地元トレンティーノ地方産のスパークリングワインとの相性は抜群だった。
今大会の開会式のテーマは、「ハーモニー=調和」。大都市ミラノと山岳地帯のハーモニー、世界各国の人々によるハーモニー、イタリアの豊かな食文化が織りなすハーモニー。南北に細長いイタリアは、地域ごとに食文化が異なる。
今回、読売テレビの取材班を支えてくれた現地コーディネーターのレオさんは、「食へのこだわりや、地域の特産品がある点は、日本ととてもよく似ている」と語っていた。
複数都市での開催は、単なる運営上の選択にとどまらず、開催国イタリアの多彩な表情を世界にアピールする手段でもあった。
