イタリア2年目のシーズンもいよいよ佳境に突入した。異国での生活に慣れ、自身のレベルアップに励む日々の中で、ふと昔を思い出すことがある。バレーボール日本代表のセッター関菜々巳が自身のベースをつくったと語る、高校時代を振り返った。〈全2回の後編/前編も公開中〉
「何で?」と思いながらも、「決まりだから」と守り続けてきことがある。最たる例が髪型だ。
千葉県・柏井高校で主将を務めた関菜々巳は、耳にも眉にもかからない短めのショートヘアだった頃の写真を見ながら「恥ずかしい」と顔を赤くする。よく似合っているが、当時の自分が望んだものではなかった。
「この頃はみんなが同じ髪型で走り回ることを、おかしいと思わなかったんです。でもイタリアへ来て、いろんな選手と話をする時に(高校時代の)写真を見せると、ほぼ全員に『え?』と絶句された。『何で日本の高校生はみんな同じ髪型なの? どの高校も一緒なの? それクレイジーじゃない?』って。確かにタトゥーもピアスも当たり前の彼女たちからすれば……もちろん文化の違いはありますけど、みんなが同じ髪型をしているのを見たら『何で?』と思うのが当然ですよね」
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規則は髪型だけではない。校内外に関わらず、恋愛は禁止。2種類あった制服のスカートも「かわいい」と評判だった赤のチェック柄を身につけることはNGだった。セーターの色や靴下の長さまで定められるなど、校則にはないバレーボール部特有のルールが存在した。
「でも、『どうしてダメなんですか?』と聞きに行く子は私も含めていなかった。そういうものだから守らなきゃいけない、って思っていました」
こういった規則は、関に限った話ではない。全国の強豪と呼ばれる高校、特に女子チームの多くで同じような“暗黙のルール”があったことはよく耳にする。それも過去のことではなく、現在もスマートフォンやSNSの使用が禁止されているチームや、髪型だけでなく眉毛処理もいっさいNGとするチームはある。筆者が「どうして?」と尋ねても、返ってくるのは決まって「わかりません」という答えばかり。
「当時は監督や先輩から怒られないように、しか考えていなかった」と回想する関も、「おかしい」と口にできるようになったのはイタリアに渡ってからだという。
