『怪談』で知られる作家・小泉八雲の文学と民俗学的まなざしに光を当てる特別展『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』が、2026年4月11日(土)から6月8日(月)まで、大阪歴史博物館 6階 特別展示室にて開かれる。
4章構成で八雲の生涯と作品世界をたどり、再話文学の背景にある民俗研究者としての側面を浮かび上がらせる。

『怪談』明治37年(1904) 松江市立中央図書館蔵
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』でも注目を集める小泉八雲は、日本を「小さな妖精の国」「神々の国」と表現し、異邦人の視点から日本文化を見つめ続けた。昔話や伝説、神話などの原典を語りなおし、物語を生み出す「再話文学」を多く残している。同展では、晩年の代表作である『怪談』をはじめとする再話文学の原典となった資料など約150件を展示する。
第1章「異界の旅人―飛翔する白鷺―」では、ギリシャに生まれたラフカディオ・ハーンが、孤独な少年期を経てアメリカへ渡り、新聞記者として各地を巡った青年時代に焦点を当てる。クレオール文化圏のことわざを集めた『ゴンボ・ゼーブ』や、幼少期の神秘体験を記した「私の守護天使」の草稿などを通じ、後年の怪談文学につながる原体験と民俗研究への萌芽を紹介する。

「私の守護天使」草稿 明治時代 松江市立中央図書館蔵
第2章「神々の国へ―小泉八雲への転生―」は、来日後の転機に焦点を当てる。島根・松江での生活や出雲大社参拝、妻セツとの出会いを経て、ハーンが「小泉八雲」として日本社会に根を下ろしていく過程を追う。『知られぬ日本の面影』に代表される日本印象記を軸に、山陰地方に伝承される民間信仰への深い共感と洞察を示す。

『知られぬ日本の面影』明治27年(1894) 近畿大学中央図書館蔵

「出雲国大社図」 江戸時代 島根県立古代出雲歴史博物館蔵
第3章「幻想の筆記者―怪談の世界―」では、晩年の代表作『怪談』を中心に、再話文学の創作手法に迫る。セツの語りをもとに物語を編み直す過程や、「耳なし芳一の話」「貉(むじな)」などの草稿・関連資料を展示し、八雲が怪異譚を再話作品へと昇華させた背景を読み解く。あわせて、日本社会を宗教や祖先崇拝の観点から論じた『日本―ひとつの解明』も紹介し、フォークロリストとしての思索を示す。

「耳なし芳一」草稿 明治時代 松江市立中央図書館蔵
終章「受け継がれるゴースト―魂の行方―」は、1904年に迎える最期とその後の評価に光を当てる。心臓発作に倒れる直前、「大層遠い、遠い旅をしました」と語った逸話を手がかりに、日本の霊性を見つめ続けた生涯を振り返る。文学者であり民俗学者でもあった小泉八雲の言葉が、現代にどう受け継がれているのかを展望する構成となっている。

『日本―ひとつの解明』明治37年(1904) 近畿大学中央図書館蔵

神戸時代の小泉八雲 大阪歴史博物館保管
関連企画として、講演会「<つながりの文学>としての怪談―八雲とアニミズムをめぐって―」が4月25日(土)午後2時から同館4階講堂で開催される。講師は、小泉八雲記念館館長であり、八雲の曽孫にあたる小泉凡さん。八雲文学を「つながり」という視点から読み解き、アニミズムとの関係を探る。定員は250人で事前申込制。参加費は2,500円(特別展観覧券付き)。
また同展のスペシャルコンテンツとして、怪談師で俳優の村上ロックによる語りも用意される。演目は、八雲の代表作『怪談』所収の名編「耳なし芳一」。全編は会場内で鑑賞できる。
はイープラスで販売中。
イベント情報
特別展『小泉八雲―怪談とフォークロリストのまなざし―』
会 期:2026年4月11日(土)~6月8日(月)
休館日:火曜日 ※ただし、5月5日(火・祝)は開館
会 場:大阪歴史博物館 6階 特別展示室(〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32)
お問合せ:大阪市総合コールセンター(なにわコール)06-4301-7285
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで
観覧料:大人1,600(1,400)円、高大生1,000(800)円(消費税込)
前売券販売期間:4月10日(金)午後11時59分までイープラスで販売中
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
主 催:大阪歴史博物館、NHKエンタープライズ近畿、産経新聞社
共 催:NHK大阪放送局
後 援:小泉八雲記念館、公益財団法人 大阪観光局
大阪歴史博物館ホームページ:https://www.osakamushis.jp/
