新潟市美術館で、「開館40周年記念 路傍小芸術」が1月24日から開催されます。
本展では、無名の人々の手で作り出され、多くの人々に見つめられてきた造形の数々を、街のあちこちから集めて紹介します。街と人々、ストリートの歴史と民俗に対して、美術館はどこまで、誠実に・正直に・リアルになれるものか、真心をこめて試みる展覧会です。
開館40周年記念 路傍小芸術
会場:新潟市美術館(新潟市中央区西大畑町5191-9)
会期:2026年1月24日(土)~3月22日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時(観覧券の販売は午後4時30分まで)
休館日:毎週月曜日(2月23日(月・祝)は開館)
観覧料:一般800円、高校・大学生:600円、中学生以下:無料
※会期中は、本展の観覧券で「コレクション展」も観覧可能
※障がい者手帳、療育手帳をお持ちの方、並びに一部の介助者の方は無料(受付で要提示)
アクセス:JR新潟駅万代口からタクシーで約10分
新潟駅バスターミナル1番のりばから八千代橋線乗車約16分
「西堀通八番町」下車徒歩約5分
または6番のりば等から萬代橋ライン乗車約10分「古町」下車徒歩約12分
自家用車の場合、日本海東北自動車道・新潟亀田ICより柳都大橋経由で約20分。
詳細は、新潟市美術館公式サイトまで。
A 松田ペットの「例の看板」
ゲストキュレーター:新稲ずな
松田ペット「例の看板」(2018年設置、長岡市内・県道170号線沿線)
松田ペット(1973年創業、代表取締役・松田保夫氏)の「例の看板」は、長岡市大島新町の店舗を中心とする半径10キロに多数展開、地元住民の思い出の風景として根付いています。全て看板画家の手描きにより、一枚ずつ微妙に違う「例の看板」の魅力を堪能できます。
松田ペット「例の看板」の調査(2025年11月)
B 新潟地震と児童版画
1964年6月16日に発生した新潟地震は、新潟市立南万代小学校に通う子供たちの通学路や生活圏にも大きな被害を与えました。6年2組の子供たちが、家屋や橋の倒壊、コンビナート火災などの惨状を描いた木版画が、今も大切に保存されています。その全46点を紹介します。
小学6年生作品《ひなん》1964年、新潟市立南万代小学校蔵
C にいがた銭湯展
ゲストキュレーター:お笑いコンビ・ジャックポット 大野まさや+春巻まさし(にいがた銭湯大使)
「銭湯」というかけがえのないコミュニティ空間の歴史と現在を、多様なアイテムで紹介。2023年12月、新潟県民会館展示スペースで開催された『にいがた銭湯展』をベースに展開します。
銭湯「みどり湯」タイル壁画(新潟市中央区)
D 越後川口サービスエリアの手描きポスター
関越自動車道・越後川口SA(長岡市)のインフォメーションに勤務する水落裕子さんが、30年以上にわたって制作し続けてきた手描きポスター。県内各地のイベント情報を、圧倒的な情報量、驚異的な超絶技巧で伝えています。
越後川口SA《2月行事祭だより》部分、2019年 提供・な!ナガオカ
E 或る三人の画家
教職をなげうち、独自の画境を追求、遂には足元のアスファルト路面を写生するに至った画家・飯田春行(1933~2022)。昭和の初めに東京で日本画を学び、帰郷後は文具店を営みながら、迫力ある達磨像を描いた井上霞舟(1967年没)。そして、中越の思い出の古民家を、突き刺すような描線で描く高橋一平かずひらさん(73)。3人の画家の自由で独自な世界を紹介します。
高橋一平《愁床暮残照》2022年、作家蔵
井上霞舟作品、個人蔵
F 思い出のセメント彫刻
1960~70年代、新潟市内の小中学校には多数のセメント彫刻がモニュメントとして建立されました。最も異彩を放つ彫刻家・早川亜美(1912~1980)の作品を中心に、子供たちの思い出に残る像の姿を写真や映像で紹介します。
早川亜美《みちびきの像》1967年、新潟県民会館前(新潟市中央区)
G 地下駐車場のサンシャイン壁画
西堀地下駐車場(1976年10月オープン)の壁面には、長大なペンキ画が描かれていました。暗い地下空間を彩り続けた、明朗・快活な「地下大壁画」を改めて観察します。
西堀地下駐車場(新潟市中央区)
H ミニコミ誌『車掌』第27号はカルタです
老若男女がそれぞれの暮らしのひとコマを描いた絵日記が、そのまま全部手描きのカルタになりました。特殊すぎるミニコミ誌『車掌』第27号に、多くの人は途方に暮れることでしょう。
ミニコミ誌『車掌』第27号(車掌編集部、2025年)
私たちの暮らしのすぐそばにありながら、普段は「芸術」として意識されることの少ない路傍の造形たち。本展は、そんな見慣れた風景の中に潜む表現の力に光を当てる、新潟市美術館開館40周年の節目にふさわしい意欲的な試みです。長岡市民におなじみの「松田ペット」の看板から、震災の記憶を刻む児童の版画、銭湯の賑わい、地下駐車場の巨大壁画まで。集められた作品群は、どれも作り手の切実な想いや誠実な手仕事が感じられるものばかりです。街のあちこちに息づくストリートの歴史と民俗の断片が一堂に会するこの貴重な機会を、ぜひ会場で体感してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
