公開日時 2025年12月28日 05:00更新日時 2025年12月28日 06:32

日本復帰前の沖縄民謡伝える音源 故安田進さん、八重山住民から収録 東京から里帰り、県芸調査へ
発見された録音物などの資料の一部(提供)

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與那原 采󠄀恵

 青森県出身の作曲家・安田進さん(享年83)=東京都=の自宅に、沖縄が日本復帰する前に録音されたとみられる、一般の人々の歌声を録音した沖縄民謡の音声資料が保管されていたことが27日までに分かった。資料は1日に沖縄県立芸術大芸術文化研究所へ引き渡された。今後、同研究所によって、資料の価値や活用方法について検討される予定だ。

 見つかったのは、1960年代後半~1971年までの八重山地域を中心とした、プロではない一般の人々の歌声の録音物(カセットテープや、オープンリール)などの音声資料21点。そのほか、安田さんが音源を分析した当時の資料などが残されていた。

安田進さん(左端)と日本大学芸術学部教授を務めた貴島清彦氏(右端)(提供)
安田進さん(左端)と日本大学芸術学部教授を務めた貴島清彦氏(右端)(提供)

 資料を発見したのは、安田さんの息子・幸夫さん(49)=東京都。安田さんの死後、遺品の整理をする中で資料が見つかった。幸夫さんは「すぐ捨ててしまうのもどうなのか。もしかしたら大事なものがあるのかもしれない」という思いから、安田さんと生前、交流の深かった青森県音楽資料保存協会の今(こん)雅人事務局長へ連絡した。

 今事務局長によると、安田さんは日本大芸術学部に在学中に、沖縄音楽の研究をしていた同大教授の故貴島清彦氏と共に沖縄を頻繁に訪問し、沖縄民謡を中心にフィールドワークを行った。民家を一軒一軒訪ねては、一般の人々に民謡を歌ってもらい、録音・記録したという。今さんは「安田さんは生前、『重い録音機を担いで何回も沖縄に行った。自分は青森県の出身だが、沖縄は第2の故郷だ』ということをよく話していた」と振り返った。

 今事務局長は今回、沖縄へ音源が渡ったことについて「安田さんが記録した貴重な歌声や演奏の音が、沖縄へ『50数年ぶりの里帰り』となる」と喜んだ。

 発見された音源は今後、県立芸大芸術文化研究所によってその価値について調査が進められていく。同研究所の久万田晋所長は「(現在は)これから調査を行い、今後の保存や活用について考えていく段階」とした上で、「今(民謡を)やっている人からすると、一世代、二世代前の音源。歴史的資料ということになる」と話した。

(與那原采恵)