兜山窯は高梁川西岸の八幡山(通称・兜山)の麓にあり、達弥さんの祖父で酒津焼窯元の家に生まれた蕭一(しょういち)さんが1935年に築いた。兜山で採れる鉄分を多く含んだ土を代々使用。焼くと収縮しゆがみが出やすいが、故に柔らかい雰囲気が生まれるという。釉薬(ゆうやく)はわらが原料の灰釉(はいゆう)が中心で素朴な色合いに仕上がる。

 同じ土を使っても親子で作風は異なる。蕭一さんは柳宗悦ら民芸運動の指導者の影響を受け、日常的に使いやすいシンプルな民芸品作りに注力。昨年亡くなった2代目の父孝明さんは格調の高さを追求して伝統工芸の技を取り入れ、表現の幅を広げた。

 達弥さんは素材に銀を取り入れるなどしデザイン性のある作品に挑戦してきた。10年後の100周年を見据え「今後は窯の原点に戻りながら、デザイン優先ではなく土味を生かした作品を作っていきたい」と決意を新たにする。

 記念展は天満屋倉敷店4階美術画廊・アートサロンで8日まで開く。ともに兜山窯で創作した経験がある叔父暉生(きせい)さん(故人)、姉の守屋明子さんを加えた初の5人展で、大鉢や食器、花入れなど約150点を並べる。午前10時~午後6時(最終日は同4時まで)。問い合わせは同店(086ー426ー2145)。
(後藤泉稀)

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